マイヌードルカップの深慮遠謀

2007.04.17

営業・マーケティング

マイヌードルカップの深慮遠謀

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

3月末に、関東地方1都9県で新発売された 日清食品のカップヌードル詰め替えセットを購入してみました。

正式な商品名は、

「カップヌードル リフィル スターターパック」

です。

内訳は、

・プラスチック製のマイヌードルカップ
・カップヌードル リフィル(詰め替え用)
・シーフードヌードル リフィル(〃)

の3点セット。

アピールポイントは、

・マイヌードルカップは繰り返し洗って使える。
・リフィル(詰め替え)は、食べた後のゴミの量が4割減る。

だから、環境に優しい。

また、マイヌードルカップは二重構造になっていて、
商品名が印刷されたデザイン紙を好きなもの
(お気に入りの絵とか)に差し替えることが可能。

だから、自分だけのオリジナル「マイカップ」が楽しめる。

キャッチコピーは、

-楽しく食べてエコスタイル-

です。わかりやすいコンセプトですね。

スターターパックの販売価格は570円程度。

リフィルが1個100円強ですから、
プラスチック製マイヌードルカップは、300円強もするんですね。

ちょっと高いかなという印象を受けます。

でも、プラスチック製なのでしっかり持つことができます。
既存の発泡スチロール容器のようにふにゃふにゃしないため、
安心感があります。

既存のパッケージより一回り大きいので、
女性の小さい手ではやや持ちにくいかもしれません・・・

さて、この新商品、エコロジーの流れにうまく乗った商品では
あるのですが、表だって語られない深慮遠謀があるのは
マーケターの方なら、おわかりですよね。

そう、「マイカップ」を持つことによる

「ブランドロイヤルティ向上」

です。

これは、ベタに言えば、マイカップ保有者の場合、
一人当たりのカップヌードル消費量が増えるということです。

マイカップがあると、いつもカップヌードルを
思い出してしまって、すぐに食べたくなってしまうから。

また、マイヌードルカップに、別のメーカーのカップ麺、
「マルちゃん」とかを入れて食べる人は少ないでしょう。
(気分的な問題もありますが、ゴミの量が減らず、
 エコに寄与しないからです)

つまり、ブランドスイッチも防げる。

こうした商品は、爆発的に売れるものではありませんが、
ヘビーユーザーをさらにロイヤル顧客に育成していく
ひとつの手段として有効でしょう。

私もその一人・・・(苦笑)

ついでながら、上記の類似サービスとして、

「マイマグカップ」

を預かるサービスをスターバックスの井の頭公園店が
実施していますね。

顧客としては、マイカップを持ち歩く手間が省けるし、
容器持参者に適用される20円の割引も受けられる。

自分専用なので気分的にも安心ですし。

一方、スタバの深慮遠謀としては、顧客のマイマグカップは、
いわば「人質」(あまりいい表現ではないですね・・・)。

来店頻度が増えるでしょうし、他店への浮気も阻止できる。

スタバ井の頭店がこのサービスを開始したのは2003年でしたが、
口コミで広がり、現在の利用者は約300人だそうです。

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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