「信じたい心」と「懐疑の精神」

2012.09.20

ライフ・ソーシャル

「信じたい心」と「懐疑の精神」

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これまで、私たちは「人を信じること」が「生き残り」に有利であったことから、基本的に「人を信じたい」という強い欲求を生まれながらに持っています。 しかし、ITの進展などによって、極めて多くの数の人々とつながるようになった今、適度な「懐疑の精神」を意識的に養うことが、生き残りにますます必要になっています。

その中には、当然ながら相手を騙す、陥れることを目的とした情報も多数含まれていることは言うまでもありません。(しかも、匿名性が高いため、万が一ばれても当人が罰せられる可能性は低く、なかなか淘汰されない)

ですから、人の言葉や噂などをむやみに信じることは、逆に自分の状況を危うくしてしまう可能性が高くなっていると言えるでしょう。

ところが、私たちは数百万年かけて学習し、本能と言えるほど体に染み付いてしまった

人を信じること」

を止めることはなかなかできないようです。

結果的に、身近なところで言えば、

「振り込め詐欺」

のような事件がいつまでたっても沈静化することがない。

また、昨今の中国での反日デモ等についても、煽りたがるマスコミ報道を安易に信じてしまい、感情的になっている人も多い。

お互いを信じあえることは、実に幸せなことではあります。

しかし、同時に、

「本当に信じていいのだろうか」
「何か裏はないのだろうか」
「他の視点から見たらどうだろうか」

などと、頭の片隅でちょっとだけ疑ってみることが求められています。

すなわち、健全な

「懐疑の精神」

を意識的に身につける必要があるのです。

ただ、疑いの心を持つことは、私たちの社会においては基本的にタブーです。したがって、積極的に疑う習慣をつけることに対して抵抗感があります。

欧米では、

「クリティカル・シンキング」

と呼ばれる思考法が重視されているのはご存知かと思います。

これは、情報を丸呑みするのではなく、

・客観的
・批判的(「否定的」ではない点注意!)
・論理的

に情報を解釈することによって、

「(健全な)疑いの精神」

を養うトレーニングがある程度できています。

しかし、日本ではまだまだの状況ですね。

世界中の人々がインターネットで結ばれ、多種多様な人々の玉石混交の情報であふれる今、

「懐疑の精神」

を養う必要性は、ますます高まっているのではないでしょうか?

『影響力の武器-なぜ、人は動かされるのか』
(ロバート・B・チャルディーニ著、社会行動研究会訳、誠信書房)

『ひとはなぜだまされるのか』
(石川幹人著、講談社)

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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