あるべき姿を妨げる壁を取り除く(3)

2007.11.06

経営・マネジメント

あるべき姿を妨げる壁を取り除く(3)

森川 大作
株式会社インサイト・コンサルティング 取締役

To Be思考を妨げる壁を克服する方法を説明します。 今回はその第3の壁。

事例については前々回の記事を見てください。
http://www.insightnow.jp/article/693

3つ目の壁は「限られた経験」です。
先の事例では、大量少品種生産時代という経験がどうしても柔軟な思考を妨げていました。
人は自分が育った環境や成功した事例などによって経験を形成し、それが考える際の枠組みとなります。
少量多品種生産は、生産ロットの短縮および製品ライフサイクルの短期化といったことを要求します。

過去には如何にラインを止めないようにロットをまとめてコストを削減するか、
在庫を切らさないか、ということが勝負指標でしたが、
今では生産計画を細切れに如何に受注に合わせて小ロットで切り替え、
必要なときに必要な量だけ作るかが勝負指標となっていたのです。
彼らにとってはパラダイムシフトでした。

パラダイムとは範例のことです。
学術的な詳しい解釈は置いておいて、要するに時代の思考を決める大きな枠組み(フレーム)です。
特定の時代や特定の環境下では是とされた枠組みが、別の時代や環境では非とされることがあります。
パラダイムが変わると、判断の基準が変わるのです。
人は、このフレームから抜け出すのがとても難しく感じます。いわばルールが変わってしまうのですから・・・。

限られた経験、すなわち自分のフレームを克服すること、すなわち、
自分の思考の枠組みを変え、別の視点に立って考えることを心理学では「リフレーミング」と言います。

たとえば、価格が高いから売れないと考えている生産者パラダイムがあるとすれば、
価格が高いから信頼できるという消費者パラダイムもある。
顧客満足は売れ筋の品揃えだと考える販売パラダイムがあるとすれば、
売れ筋はどこでも手に入るから希少品の取り扱いやユニークさが決め手という顧客パラダイムがある。

大切なことは、二項対立、二律背反的に考えるのではなく、視点を多面化することで、
限られた経験から来る単一視点を離れる、あるいは拡張することです。

ゼロベース思考、つまり白紙に戻して考えなさいとよく言われます。
でも、人はパラダイムに支配されていますから、本当の意味で白紙に戻して考えることは、
とてつもない思考量を要求する難しい課題だと思います。

現に、複数のあるべき姿を描こうとしても、どうしても似通ってしまったり、
そうでなくとも優劣が自明のオプションとなったりします。

コンサルティング現場で、よくスクラッチ&ビルディングを行います。転換のために壊して建て直し。
でも、やり直そうとしても、最初に考えたことや経験したことが尾を引いてしまう、これが壁です。
ですから、どうすればゼロベースで考え直せるのかを考えなくてはなりません。

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森川 大作

株式会社インサイト・コンサルティング 取締役

わたしはこれまで人と組織の変革に関わってきました。 そこにはいつも自ら変わる働きかけがあり、 異なる質への変化があり、 挑戦と躍動感と成長実感があります。 自分の心に湧き上がるもの、 それは助け合うことができたという満足感と、 実は自分が成長できたという幸福感です。 人生は、絶え間なく続く変革プロジェクト。 読者の皆様が、人、組織、そして自分の、 チェンジリーダーとして役立つ情報を発信します。

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