「トクホンの入浴剤」に隠された戦略は何だ?

2011.06.30

営業・マーケティング

「トクホンの入浴剤」に隠された戦略は何だ?

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 トクホンといえば、湿布薬。そのトクホンから薬用入浴剤「トクホンの湯」(医薬部外品)が発売された。そこにはどのような戦略が隠されているのだろうか。

 メーカーが販売チャネルの棚を獲得することは容易ではない。消炎剤では盤石の地位を築いていても、実績のない入浴剤を持っていって、バスクリンやバスロマン、バブなどの強豪がひしめく棚を「ハイどうぞ」と空けてくれるチャネルはないだろう。確かに「販促品として好評であった」という実績はあるかもしれないが、それが商品として売り出したときに売れるという保証にはならない。
 同社のホームページを見ると、営業活動の様子として<当社の製品は、代理店を経て薬局・薬店に供給されます。私たち営業は代理店、薬局・薬店を訪問して製品の情報を提供しています>とある。
 懸命に新商品である入浴剤を売り込んでもチャネルは取り扱いに関して首を縦に振ってくれないとすればどうするか。「商品として売れるという実績」を切り札にするしかない。ネットでの販売は「実績作り」であると考えられる。
 <入浴剤のハイシーズンとなる秋冬に向けて、店頭での販売も予定している>(同)とあるが、夏の時期、シャワーで済ませてしまう人も多いだろう。だとすると、夏の間は何とか認知を高める努力をして、ネットでの販売の勝負は秋口から。その実績を持って、冬に何とか店頭の棚を獲得することを目指すという動きになるのだろう。

 どんなにすばらしい商品を作っても、販売の場を獲得できなければ消費者の手に取られ、売れることはない。そして、販売チャネルは自社でコントロールすることができない、利害関係が複雑に絡む「他人」である。メーカーの商品が棚に並ぶまでには様々なドラマが存在するのである。
 薬用入浴剤「トクホンの湯」がドラッグストアなどの店頭にいつ並ぶかをウォッチしてみるといいだろう。おっと、そのためにもトクホンモバイルサイトか、楽天市場で購入して試してみることも・・・。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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