ミニストップに学ぶ「震災対応」と「商売」の両立とは?

2011.03.30

営業・マーケティング

ミニストップに学ぶ「震災対応」と「商売」の両立とは?

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 3月28日付・日本経済新聞にわずか40行の小さなベタ記事が掲載された。タイトルは「ミニストップが独自の品薄対策 牛乳やおにぎり」。東日本大震災に対応した対策ではあるが、実はそれは同社が以前から構築してきた体制があってのことであるのだ。

 記事中の「牛乳やおにぎり」は全く別々の施策だ。
「牛乳」の対応とは、被災地の品薄を緩和するため。「宮城、福島両県の約130店舗で26日に売り出したのは北海道地盤の中堅コンビニエンスストア、セイコーマートのPBの牛乳(1リットル)」と、記事にある。イオングループである同社が他社のPBを扱ったのである。確かにこれはニュースだ。しかし、これにはもっと深い話が読み取れる。
 セイコーマートは北海道を地盤とする業界7位のチェーンだ。生鮮品とPB商品の取り扱いに実績があることと、店舗が道内に約1,000店、関東地区に約100店(Wikipediaを参考)。つまり、ミニストップが今回牛乳を提供する地域では競合が発生しない供給元から仕入れるという仕組みを構築できたらからこそ、実現できた被災地支援なのである。

 もう一方の「おにぎり」の対応も出色である。
 記事には「首都圏では店内で製造できるおにぎりを強化している」と棚に商品を店員が並べる写真も添えられている。また「手作りおにぎりを導入している首都圏の約260店では「帰宅困難者が殺到した時も店内で作り続けられた」(阿部信行社長)ため、従来は20~30キログラムだった米の店内在庫を倍増する」とある。
 上記によると、震災後の対応のようにも読み取れるが、実はミニストップは昨年9月から「手作りおにぎり」に注力する動きを加速している。

 ミニストップ/店内調理のおにぎり・惣菜を200店舗に拡大
(ロジスティクス・パートナー社・流通ニュース/ 2010年09月15日)
 http://www.ryutsuu.biz/commodity/c091507.html

 記事によれば、「2009年9月から、東京都内の既存店舗(約40店)において店内で調理した手作り「おにぎり」・「惣菜」の実験販売を行ってきた。今回、実験店の結果を受け、店舗オペレーションの効率化を図るとともに、販売の堅調な「おにぎり」と一部「惣菜」の取り扱い店舗を拡大することを決めた」とある。

 ミニストップは1980年にイオンによって設立。現在業界第5位、全国約2,000店舗を有している。しかし、セブンイレブンは1973年設立。前出のセイコーマートはさらに早く1971年に第1号店をオープンさせているのに比べると、業界後発である。
 後発故に、何らかの差別化ポイントが必要で、そのためにオープン当初から準備されていたのが「店内調理の充実」である。ファストフードメニューを取りそろえ、店内で調理して、それを食べるためのイートインコーナーを備えているのが最大の特徴だ。
 店内調理は差別化できるだけでなく、収益貢献も高い。「商品仕入れ」→「在庫」→「販売」というコンビニエンスストアのバリューチェーンを、「半製品仕入れ」→「在庫」→「加工(調理)」→「販売」という、店内で加工度を上げる=付加価値を増す過程を持っているのだ。加工は店内スタッフが他業務と兼務する。人件費効率も高くなる。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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