緑茶飲料・秋の陣を占う

2007.10.19

営業・マーケティング

緑茶飲料・秋の陣を占う

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

大きな動きでみれば「第三次」となるのか、「秋の陣」ともいうべき緑茶飲料の戦いが激しさを増してきた。 各社の動きをみれば、「量少なめ、値段高め」の「プレミアム戦略」が主流のようだが、果たして市場に受け入れられるのか? 生活者視点を交えて各社の戦略を比較してみよう。

■緑茶飲料戦争のこれまで

「売れるわけがない」と言われたペットボトル入り緑茶飲料の市場を開拓したのは、専業の強みを活かした伊藤園だが、その地位を脅かす存在としてキリンビバレッジの「生茶」が登場した。
「お茶にも生があったんだ」のコピーが表す「新鮮な飲みくちと、ほのかな甘味」が、CFに起用した松嶋菜々子と共に、今まで緑茶飲用習慣の低かった女性層に受け、大ブレイクした。
2000年夏には、生茶がおーいお茶のシェアを10%余り食い、両者の壮絶な販売競争が展開された。
第一次緑茶戦争である。

2003年、壮絶な戦いの中にも均衡を保つ両者に割って入ったのが、京都の老舗・福寿園ののれんを担いできたサントリーだ。
生茶対抗として季節限定や産地限定など、様々なバリエーション展開を図っている伊藤園にとっても、サントリーはいやな相手。
何しろ、日本で初めて烏龍茶飲料を上市したものの、「烏龍茶はサントリーのこと」というコピーでお株を奪われた因縁もある。

その福寿園ブランドの「伊右衛門」は、あっさり生茶を抜いた。
さらに、日本コカ・コーラ「一(はじめ)」、アサヒ飲料「若武者」が追撃を仕掛けた第二次戦争もものとせず、緑茶飲料カテゴリー第二位の地位を確たるものとした。

しかし、さすがの伊右衛門も昨年初のマイナス成長を記録した。
その状況で、この秋・第三次戦争の前哨として日本タバコ(JT)が同じく京都の名門の名をそのまま冠した「辻利」を上市。
伊右衛門は迎え撃つ立場となったのだ。

■前哨戦・伊右衛門VS.辻利の行方は?

JTの「辻利」に関しての販売データが手元にないので、一生活者として受けている印象を少し考えてみたい。
誰しも感じるだろうが、辻利は完全に伊右衛門にぴったりポジショニングをかぶせてきている。
マーケティング的には「同質化」という戦略だ。
同じ飲料では、大塚製薬が「ポカリスエット」で作ったスポーツ飲料というカテゴリーにぴったりかぶせて、日本コカ・コーラが「アクエリアス」を上市し、シェアを取った例があげられる。
同質化を仕掛ける側には、対抗しうるだけの資本力、販売力が求められる。
それがなければ、ぴったりかぶせて、できるだけ相手の存在をかき消すという戦略目標が達成できないからだ。

さて、サントリーに対してJTが同質化を仕掛けたと見られるわけだが、まぁ、楽な戦いでないことは予想されただろう。
しかし、辻利は江崎グリコのポッキー、他メーカーにもアイスクリームに「辻利ブランド」の使用を認めている。現在その動きは見えないが、うまくすれば、クロス・マーチャンダイジング的なシナジー効果が期待できる。今後の展開次第の部分だ。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

フォロー フォローして金森 努の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。