「勘と経験」から「データ」へ?変わる自販機販売戦略

2011.02.22

営業・マーケティング

「勘と経験」から「データ」へ?変わる自販機販売戦略

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 桃の節句も近づき、日差しや吹く風の中にも少しだけ春を感じる今日この頃。JR東日本管内の駅では超レアな「果汁飲料」が販売されているのをご存じだろうか。「桃の花」は春の季語であるが、「桃果汁」だ。そして、その商品の裏側には、販売データとバイヤーの勘と経験がせめぎ合った物語が隠されていた・・・そんな話を社長に聞いてきた!!

■こだわりの地産飲料

 2月15日からJR東日本管内のエキナカ飲料自販機・acure〈アキュア〉、NEWDAYS、KIOSK 等で販売が始まった桃果汁飲料・「モモごこち」。「地産飲料」と銘打って、100%国産・福島県産のブランド品種「あかつき」のみを使用して作ったという、超こだわりの商品である。販売元はエキナカ自販機を運営するJR東日本ウォータービジネス。同社は2010年から東日本エリア地産の果物や天然水等を、地元企業との共同企画で商品化して主にJR東日本のエキナカで販売・消費する、「地産エキ消」ともいうべき取り組みを行っている。
(参考記事: 「地産エキ消」を仕掛けるJR駅ナカ自販機の狙い

■リニューアルと販売戦略

 『モモごこち』は昨年販売された桃の果汁飲料、『もぎたて「んまいもも」』のリニューアル商品だ。同社ニュースリリースで今回のリニューアルのポイントを調べてみる。
 「桃の産地を絞り、単一品種に」変更。「ペットボトルをリラックス&リフレッシュが伝わるデザインに刷新。キャップを桃色にし、ネーミングは飲用シーンをイメージした『モモごこち』に」改定した。中味と外見両面からの改定を行ったということだ。

 ・・・と聞くと、ごくフツーの製品改定に感じるのだが、筆者はこの商品からはただならぬ「気配」を感じたのだ。というのも、昨シーズンの商品「んまいもも」を購入している消費者の姿をエキナカでは随分と見かけた。にもかかわらず、これだけの改定をするということは、何らかの戦略的な意図が隠されているに違いないと思ったからだ。

■リニューアルのポイントは・・・

 リリース元である同社企画部に問い合わせをしてみた。
 まず、昨シーズンの商品、「もぎたて『んまいもも』」の売上げについてだ。すると、次のような回答があった。
「販売期間中での競合NB主力商品と比較して、週販実績120%。果汁カテゴリーでトップ。当初目標販売数に対して、実績140%」という堂々たる実績。さらに顧客の声も、「他の高果汁の桃飲料と違って、みずみずしくて飲みやすい。さらりと飲めて、本格的な桃の味が楽しめる」と好評であったという。

 そんなに実績があり、好評だとすれば、大幅な改定を行う意図が謎である。
産地限定・品種限定というこだわりを強める「中味」の改定は「地産飲料」という同社独自の取り組みからすればわかる。しかし、商品名とパッケージという外見の大きな変更はターゲットが変更されたように思われるのだ。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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