「マーケティング3.0」考-3

2011.01.08

営業・マーケティング

「マーケティング3.0」考-3

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これは、昨年(2010年)後半、メルマガ『スーパー広報術』に連載した記事を統合・一部リライトしたものです。なお、原書に基づいて執筆したため、翻訳版とは日本語の表現が若干異なっています。

そして、近年はさらに経営全体の視点からマーケティングを考える必要が出てきました。ある意味、マーケティング=経営という等式が成り立つほどビジネスにおけるマーケティングの存在が大きくなったのです。

「経営的」マーケティングが求められる理由。それは、消費者が社会、また地球規模の影響を考慮して商品を選択するようになり、企業の社会における存在意義を問うようになったからです。

したがって、マーケティングは、社会における企業の存在価値を証明する活動として位置づけるべきであり、ここには経営レベルの視点が不可欠なのです。

●まるごとの人間

マーケティング3.0では消費者を「まるごとの人間」(Whole Human beings)として把握し、対応する必要があると説いています。本の中では、『7つの習』のスティーヴン・コヴィーの説を引用していますが、まるごとの人間は、以下の4つの基本的な要素を持っています。

・身体(physical body)
・知性(mind)
・心(heart)
・人間性(spirit)

すなわち、物質的な「身体」、独立した考えや分析を行うことのできる「知性」(mind)、感情を司る「心」(heart)、そして、「人間性」(spirit)です。

「人間性」(spirit)は以前もご説明しましたが、今回は別の説明を加えるとそもそも人間とは何か、なぜこの世に存在しているのかといった哲学的な思いをはせる部分のことだと理解してください。

マーケティングは、当初、「知性」を対象にコミュニケーションをしてきました。つまりこの製品は役に立つ、といった論理的な判断を求める方法です。

製品が持つ「機能的価値」「便益的価値」を訴求するわけです。

しかし、同じような「機能的価値」「便益的価値」を持つ競合他社商品は山ほどありますよね。そこで、消費者の「心」、言い換えると「感情」に訴えようとするコミュニケーションが台頭してきたのです。

これは、例えば、「この商品を買うと、楽しい気分になりますよ、
心地よいですよ、誇らしいですよ」といった「情緒的価値」を伝えるということです。このアプローチは、一般に「感情マーケティング」と呼ばれ現在全盛期を迎えていると言えます。

●グローバル・ビッグ・イシュー

そして近年、増える兆しを見せてきたのが、「人間性」に訴えるアプローチです。これは、個人の欲求を超えたところにある、社会、あるいは地球規模の課題や心配事、不安について、企業がどのように考えており、それらの解決にどのような貢献ができるかを伝えることです。

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有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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