ここ最近は、評価制度の中に「自己評価」も加えている企業が増えています。「自己評価」には、メリットもデメリットもあり、安易に採用するとデメリットが人事制度の欠陥となってしまうのです。
逆に、自分を高く評価している部下に対して「オレの見方は違う」という厳しい評価内容を伝え納得させることは、非常に難しい。大きなエネルギーが必要です。
うまく伝えられたとしても、そのことが本人の成長意欲とやる気につながるかというと、むしろ逆になる危険性のほうが高い。
自己評価と一口に言っても段階があります。
第一段階は、日頃の仕事ぶりを振り返り、評価させる。そのことを通じて、自分の強み、弱みを把握することも加えている制度もあります。
そして第二段階は、5段階でやっているなら5段階の、10段階でやっているなら10段階の「評価ランク」も自分で決めて申告させるということ。
第一段階までであれば、自己評価のメリットの大部分が享受できますが、第二段階の「評価ランクを申告させる」までやってしまうと、とたんにデメリットが表面化してくることになります。
本人が「自分は充分やっている」と強気で5段階の「5」をつけ、上司は「やっていることは普通だよ」と「3」をつけたとします。
このギャップを話し合うことは至難の業です。1段階くらいであれば、業務内容の詳しいことを材料に共に振り返ることにもつながりますが、2段階もギャップがあり、しかも本人が「満点」をつけてきたような場合には、実に大雑把な会話にならざるをえない。
「色々課題もあるだろうから、お前、満点ってことはないだろう」とか「最近人事部から評価が甘いという指導が入ってるんだよ。お前ももう少し自分を厳しく見てもらわないと困るよ」というような会話は容易に想像がつくのではないでしょうか。
このように考えてくると、よく考えて導入しないと、よかれと思って導入した「自己評価」を起点とした仕組みが、制度の「欠陥」となって足を引っ張ることになってしまう場合があるということになります。
評価する側に、相当程度の熟練があること。特にフィードバック能力が低いと自己評価と上司評価のすり合わせを上手にすることができません。そして、自己評価することの意味とポイントをきちんとレクチャーすることが非常に重要になります。
可能な限り、前述の二段階(仕事の振り返り+評価ランクの決定)のうち、第一段階の仕事の振り返りに留めることを私はお勧めします。
株式会社マングローブ
今野 誠一
毎日ブログ更新中
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今野 誠一
株式会社マングローブ 代表取締役社長
組織変革及びその担い手となる管理職の人材開発を強みとする「組織人事コンサルティング会社」を経営。 設立以来15年、組織変革コンサルタント、ファシリテーターとしてこれまでに約600社の組織変革に携わっている。
