孤立を怖れず、"It's unfair"と主張する

2010.12.18

経営・マネジメント

孤立を怖れず、"It's unfair"と主張する

中ノ森 清訓
株式会社 戦略調達 代表取締役社長

地球温暖化対策の国際的枠組みを話し合うCOP16は、2012年末で期限が切れる京都議定書以降の国際的な枠組みについて結論を出さず、議論を1年間継続させることで決着した。COP16の議論の流れを作ったものの一つに日本政府代表の強い姿勢があった。日本は今、地球温暖化対策を始め、様々な国際的枠組みの話し合いの中で困難な状況に置かれている。そうした状況の中で、自分の主張を貫くすべについて検討する。

日本政府代表の主張は、京都議定書を継続していては、温暖化ガスの排出量の4割超を占める中国や米国がいつまで経っても削減義務を負おうとしないという非常に真っ当なものである。

国際交渉の場では、数だけではなく、Fair(公正)であることが大きな力を持つ。それでなければ、多様な価値観を持つ国々の間で話をまとめることができないからだ。

温暖化ガスの今後の国際的な枠組みの議論については、現在の所、日本政府代表に理がある。だからこそ、たとえ少数派で世界中から非難されようとも、大きな声で"It's unfair"と主張しよう。我われは何も恥じる事はない。なぜなら、日本の現在のポジションを批判する方が、

"It's just so unfair"

だからだ。

これからもこうした強いポジションを貫こうとすると、日本は色々な方面から攻められるだろう。兵糧攻めにも合うかもしれない。たとえば、「日本は環境ではFairnessを主張しているのに、貿易自由化ではunfairな国内産業保護を続けている!」といった論調が出てこないとは限らない。

こうした揺さぶりが外交だけでなく、各企業の日常の海外展開においても仕掛けられる。そうした攻撃、揺さぶりに対抗するには、個々の企業レベルでも、「温かい人間関係の中やさしい一員」の立場に固執するのではなく、常にFairnessを意識し、国に頼らず自律したポジションを保つようにしておくことが肝要だ。

中ノ森 清訓/株式会社 戦略調達 代表取締役社長

調達・購買業務に関わる代行・アウトソーシング、システム導入、コンサルティングを通じて、お客様の「最善の調達・購買」を実現することにより、調達・購買コスト、物流費用、経費削減を支援する傍ら、調達・購買活動から環境経営に貢献する方法は数多くあると、環境負荷を低減する商品・サービスの開発やそれを支える優良なサプライヤの紹介など環境調達に関する情報発信活動を行っている。
コーポレートサイト: http://www.samuraisourcing.com/

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株式会社 戦略調達 代表取締役社長

コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます

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