人が人を評価するということは非常に難しいことです。業績を評価して報酬を決めるというだけではない、3つの機能を理解して、手間隙を惜しまず取組み続ける必要があると思っています。
まずするべきは、評価期間の間に取り組んだ仕事をきちんと振り返り、うまくいっているポイントを明らかにする必要があります。仕組みがそうなっていようといまいと、多くの人は無意識のうちに人を減点方式で見てしまいがちです。これは本当に不思議なことですね。神様がどうしてそういう意識をセットしたのか実に不思議です。まずは「出来ていることをきちんと評価し、しかもなぜそれができているのかを共有する」ということがあれば、次に進んでいけるわけです。
しかし、「あれができていない、これができていない」中心の評価では、結局のところ、あまり向上につながりません。できていることを最大限に認め「この点をもっとこうすれば、さらにずっとよくなる」ということを伝えて激励するために仕事ぶりを評価する姿勢が必要だと思います。
2.適性を見極める機能
多くの企業が、昇格や降格のルールを持っています。その目的は「モチベーションの向上を期するため」「緊張感を持ってもらうため」の2つをおっしゃいます。しかし、ある期間ごとに点数をつけて、成績が悪い時期が一定期間続いたら身分を下げて奮起してもらおうという企みはほとんど機能しません。それは、降格制度などから「会社の愛情を感じることができない」ためです。そうしたルールを制度に組み込むこと自体は、仕組みとしてはまあいいとしても、肝心なことは「なぜ彼は低い評価が何度も続いたのだろうか?」という疑問を解決すること。その原因が「適性」にあるのであれば、降格するのではなく「異動する」ことが必要だということ。
単に、評価して給料を決めたり、悪い評価だからと言って身分を下げて給料を下げれば奮起してやる気になるか、諦めて辞めてくれるだろうなどという姿勢では、社員との信頼関係はいつまで立っても作っていくことはできないですよね。
一人ひとりが幸せなビジネス生活が送れるように、マネジャーも会社も一緒になって、一人ひとりの社員の適性を見極めていく手助けをすることも必要なことだと思います。
それ自体も簡単なことじゃないですが・・・。
3.貢献度をはかり報いる機能
会社の業績をどのように貢献してくれたのかをきちんと見極めて報いることは重要です。しかし、これも揉めることになるポイントのひとつです。
その期間だけ見れば数値化することも可能かもしれませんが、将来の業績につながる動きを今していたり、他の人の貢献に手助けしていたり、もっともっと貢献度を上げるように自分自身の成長と変革への取組みをしていたり(この部分を評価するかは議論のあるところですが)・・・。そのあたりのことを見てあげることがなかなか難しいために、なかなか上手に評価することができません。
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今野 誠一
株式会社マングローブ 代表取締役社長
組織変革及びその担い手となる管理職の人材開発を強みとする「組織人事コンサルティング会社」を経営。 設立以来15年、組織変革コンサルタント、ファシリテーターとしてこれまでに約600社の組織変革に携わっている。
