EQには複数の定義が存在します。コンピテンシーに近い定義もありますが実は感情をマネージする能力として本来は定義されていたのです。
EQって気配りのことでしょ。
その通り!
EQって共感を示すことよね。
それもあり!
でもちょっと学術的なことを言うと実はそれらは
EQを発揮した結果を表現しているのです。
話が多少ややこしくなるのはEQの定義が複数存在
するからです。
EQとはEmotional Intelligence Quotientの略です。
1995年にダニエル・ゴールマン博士が
「EQ心の知能指数」という本を書いたことでこの
概念が世間一般に広まりました。指数なので
IQに対してEQという表現がわかりやすかったのです。
ゴールマン氏はEQを最終的には5つに分類しました
1. 自己アウェアネス
2. 自己制御
3. 動機付け
4. 共感
5. 対人スキル
ゴールマン氏はコンピテンシーの大家である
デビッド・マクレランド博士に師事した経験があり、
EQをコンピテンシー的に表現したのです。
EQの元々の提唱者はエール大学のピーター・サロベイ博士と
ニューハンプシャー大学のジョン・メイヤー博士です。
彼らは1990年にEmotional Intelligenceを「感情を上手く管理し、
活用することは知能である」と提唱したことが発端です。
ですから海外ではEmotional Intelligenceの略であるEIと
表現されることが主流です。
EI(日本ではEQ)には4つのサブ能力が存在します。
1. 感情の識別
2. 感情の利用
3. 感情の理解
4. 感情の調整
これら4つの能力が発揮され、その結果、動機付け
がうまく行ったり、他人に共感を示すことが可能と
なるわけです。
つまり、
1.相手の表情から悲しみを読み取り、
2.自分の気持ちを相手の気持ちに近づけ、
3.そしてなぜ悲しくなったかを状況から推測し、
(仕事での失敗なのか、友人と喧嘩したからなのか)
4.それに応じ、適切ななぐさめの言葉をかける
(自分自身が他のことで大変だったとしても)
ことで「共感」を相手に示すことができるのです。
ゴールマン氏も近著「SQ、生き方の知能指数」
では、EQ的なコンピテンシーを発展させSQ
(社会的知性)として再整理しています。
いろいろな表現はありますが、人間関係を
改善したり、コミュニケーションをよくしたり、
感情という視点から世の中をよくしようとする
方向性はどの研究者も一緒です。
だって人間は感情の動物ですからね。
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2010.03.20
2015.12.13

横井 真人
産業能率大学 教授
個人と組織のパフォーマンス向上を研究。人の行動をスキル、知識、行動意識、感情能力、価値観等の要素に分解し、どの要素が行動に影響を与えているかの観点からパフォーマンスを分析。職場のコミュ二ケーション、リーダーシップ、チームビルディング、ファシリテーション、ソリューション営業、マーケティング等の具体的施策に視点を活用する。
