マクドナルドがデリバリー市場を破壊する?

2010.12.07

営業・マーケティング

マクドナルドがデリバリー市場を破壊する?

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 日本マクドナルドが今月末から東京・世田谷の店舗で試験的にデリバリーサービスを開始し、来年4月までに都内で10店舗程度、夏をめどに全国展開をするという。

 デリバリーサービスは原則24時間体制。ハンバーガーやポテト、ドリンクなどの注文をコールセンターで受け付け、バイクで店舗から10分以内の地域に配達する。配達の経費、主に人件費が従来よりかかるため、そのコストは別途宅配料を顧客から徴収するか、メニューを値上げすることを検討しているという。

 マクドナルドの店舗数は、現在効率化を図るため削減中ではあるが、2010年2月時点で3,686もある。最終形としてその数のデリバリーサービスが動き出すのだ。宅配ピザ市場のリーダー企業は、売上げ・店舗数とも第1位はピザーラだが、約570店とハンバーガー業界第3位のロッテリアと同等(2位はモスバーガーの約1,360店)の店舗数しかない。また、店舗数が1,000を超えている宅配対応の外食チェーンとしては、カレーのCoCo壱番屋があるが、同社は全店対応しているわけではない。

 そもそも、消費者がデリバリーサービスに期待することとは何だろうか。
デリバリー。古い言葉で言うならば「店屋物」もしくは、「出前」。両者に続くのは「~で済ます」という言葉なので、「味」に期待するのではなく、「手軽さ」や「時間節減効果」である。「Time save」が中核的価値なら、それがどのように実現されるかという実体は、チェーン化されたデリバリーサービスならではの「当たり外れがない」ということだ。

 マーケティングとは消費者と企業の「価値の交換活動」である。「価値」の実現と、その「対価」に注目してみよう。
 例えば、「飲料」の中核価値は、「喉の渇きが癒せる」ことだ。商品ならミネラルウォーターで実現でき、対価は100円程度である。単に喉の渇きが癒せるだけでなく、「スッキリする・おいしい」という味という「実体」をともなうなら、清涼飲料水という商品で150円程度の対価で販売できる。
 デリバリーサービスにおいてはどうか。
手軽という中核価値を実現している、従来型の飲食店、例えば住宅街に近い中華料理屋の場合。出前をしない、いわゆるラーメン専業店の相場は、概ねその時代の「タクシー初乗り料金」と同等とよくいわれることから、750円~800円程度。住宅地の店はそれより安く650円~700円程度だろう。そば屋の基本的なメニューも同等だ。価格は店内価格と出前の場合と同じ。配達料込みである。
 デリバリー専業のピザーラ。ロングセラーの「ピザ・モントレー(トマト味・カレー味)」はMサイズで2,100円。2人で分ければ1人前1,050円で配達料込みということになる。 
 CoCo壱番屋は配達料がカレー1皿あたり100円+1軒200円だ。カレーの価格はメニューによるが、中間価格帯は750円程度だろう。1皿配達なら1,050円となる。費用の根拠としては、片道10分の宅配に時給1,000円のアルバイトを使った場合、1注文あたり333円価格に転嫁すれば赤字にはならない。ピザーラのように価格に込みにするか、CoCo壱番屋のように別料金にするかの違いで、両者の価格帯が同等なのはポリシーが同じだからだろう。こう考えると、配達料が高く感じるが、「手軽」という中核的価値に加えて、「当たり外れがない味」という実体の付加価値分も含めて消費者は受入れていることがわかる。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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