売れる営業マン分析“あなたからなら買ってもいい”

2010.11.09

開発秘話

売れる営業マン分析“あなたからなら買ってもいい”

喜田 真弓

アシストは企業向けコンピュータソフトを販売する会社、したがって約800名の社員の約3分の1は営業マンである。それぞれ販売ノルマをもち、それをクリアすることが求められるのはいずこも同じ。成績は4ヵ月ごと、年3期に分けて計上され、ノルマを達成した営業マンは全社に告知される。

アシストの数多い営業マンの中で、ノルマを達成し続けているのが東日本第1支社の小澤匡資だ。技術志望で入社するも1年目から営業部門に配属され、研修や社内でアシスタント的な仕事を通して営業プロセスを学び、2年目から営業の現場へデビューした。

■今日の商談は来年用、ちょっとした気配りは日々

最初の1年間は、与えられた低いノルマの達成もならなかったが、その翌年から今日に至るまでの約9年間で達成できなかったのは1期だけ、あとはすべてノルマをクリアしている。売れる営業の秘訣はなにか。本人に尋ねてみた。

「ノルマ達成の秘訣は常に先を見ること。高額製品をお客さんに持っていって1ヶ月で売れるわけがない。例えば今期クローズする契約はすべて昨年から提案してきたもの。したがって常に、今は来期、来年の商談、というように動いている」
「フットワークのよさ。かといってすべてを一度におこなうことはできないから、臨機応変に優先順位をつけること」
「客先ではとにかくお客さんの話を聞く。わからないことは知っているふりはせず、必要ならすぐに電話をして技術担当者に聞く。そのためにも社内での人間関係も大切」。

社内の人間関係ということで小澤と、過去、現在において働いたことのある営業アシスタント数名に話を聞いてみた。

「事務処理を理解していない営業が多い中、きちんと事務処理も理解した上で案件を進めてくれる。必要な時には相談してくれる」
「知ったかぶりをしない。だからこそ、多少無理なことを言われても、本人が理解した上での無理なお願いなので、小澤さんからの依頼だとなんだかんだでやってあげようという気持ちになる。また、それが数字に繋がってもいる」
「疲れているときにタイミングよく差し入れをくれる、それも美味しいケーキ屋さんを選んで」。

自分が気持ちよく仕事を進めるためには、周りも気持ちよくあって欲しい。そして周りの人の力を借りやすい状況を作っていく。売れる営業マンは自然体でありながら、日々のちょっとした心配りを忘れないのだ。 

■運を作り出す

小澤の元上司である加藤義和は、小澤についてこう語る。

「グータラなところもあるけど、ツボははずさない。そして作戦を立てられる。つまりどのタイミングで、どの人(キーマン)に、その話(提案)を持っていくか、また一人ではなく上長や技術の人に同行してもらうべきか、そういう判断を的確にできる」
「小澤の営業手法をノウハウとして確立してチームメンバーで共有すれば、皆も成績が上がるはずだけど、彼のアカウント・プラニング手法はおそらく無形のもの。小澤は規則を破ることはないけれど、マニュアル人間ではない。だから“こうしなさい”というような縛りには逆に反発するタイプ」
「“案件の創出”は得意じゃない。課題はもともとお客さん自身がよく認識しているし、お客さんと良い関係になれば自然とそういう話題になる。営業は、いつ、どうやって解決するか、という話しになったときに、解決案を提示しお客さんと一緒に考える。小澤はそのタイミングを知ってる」
「長期的にノルマを達成できるというのはもちろん運もある。小澤はラッキーボーイだし、本人も自覚してる。だから感謝の気持ちを持っている。お客さんに恵まれ、社内の周りの人にも恵まれている。チャンスは誰にでも平等に巡ってくるもの。そのチャンスを掴めるか否かが人によって違う。“運命の女神には後ろ髪がない”。つまり、後からではなく、巡ってくるチャンスを前からしっかりキャッチするための準備を日頃から怠り無くやっているからこそ、“運”があるのだと思う」。

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