戦略転換は進化か不毛か。アパレル小売の栄衰を象徴する2社

2010.10.04

経営・マネジメント

戦略転換は進化か不毛か。アパレル小売の栄衰を象徴する2社

猪口 真
株式会社パトス 代表取締役

再三のNB化への転換で利益増をもくろむライトオン、それに対し、「餅は餅屋」と仕入れに徹底し、SPAとの差別化を測るしまむら。この両社の違いは何を物語る?

アパレル小売業界は、デフレ、国内外のファストファッション化の流れの中、販売不振にあえぎ、再三の戦略見直しを迫られている。

中でも象徴的なのがライトオン。2010年8月期決算を見てみると、大幅な減収減益に終わっている。売上は869億7500万円(前期比13・5%減)、経常利益は12億1300万円(同55・8%減)
当期損失は4億7200万円となっている。

そしてライトオンはこの結果に対し、またまたNBへの回帰戦略を打ち出した。大量生産による利益率の向上を狙って実施したPB化戦略だが、大量生産ゆえのニーズ多様化との逆行、そしてさらなる販売不振による在庫過多などの問題が表面化し、もう何度目かわからない回数の戦略変換だ。

業界では有名だが、ライトオンはPBへの集中投下(SPA化)とNB重視の戦略を何度も繰り返している。ものづくりノウハウが十分とは言えない安易なPB化の推進は、一瞬の利益率の改善を生むことはあるが、利益率重視の大量生産、大量陳列が、多様化するユーザーニーズに応えられるとは思えないし、一過性のSPA戦略ととったところで、ユニクロや無印にかなうわけはない。ヒートテックが一夜にして生まれるはずがないのだ。

こうした流れはセレクトショップでも同様だ。デフレの波に打ち勝つことができず、安易なローコスト商品を中心とした品揃えばかりのセレクトショップは完全に個性を失い、いつのまにかライバルが数多くのファストファッションになってしまった。

一方、デフレの象徴と揶揄されることもある「しまむら」は相変わらずの好調ぶりを示している。
しまむらの上期3~8月期の連結営業利益が前年同期比7%増の約180億円と過去最高益となった模様で、全体の売上高は、主力の「ファッションセンターしまむら」の既存店は売上が2%減となったものの、2160億円と2%増となった。
さらに、11年の通期は売上高が前期比4%増の4481億円、営業利益が6%増の392億円と2期連続の過去最高を見込んでいるという。

しまむらの野中社長は、2010/8/18付けJ-CASTニュースのインタビュー記事の中で、「餅は餅屋。物を売るのが私たちの仕事です。」と明確にしまむらのドメインが何であるのかを語っている。
さらに、「当社では、追加仕入れをほとんどしません。違うものを仕入れる方がお客様に楽しんでもらえると思うからです。当社の場合、週に6回は新しい商品が店頭に並びます」と顧客の立場に立った商品戦略を語る。世界中のメーカーを尊重し、そしてお客様に喜んでもらえるために、自分たちができることを徹底的に追及していることの表れだ。

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