歴史に学ぶ敗者の姿勢「観応の擾乱」

2010.09.21

ライフ・ソーシャル

歴史に学ぶ敗者の姿勢「観応の擾乱」

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

戦いの勝者と敗者は普通、真逆。しかし敗者が勝者に必ずしも屈服しないという態度は、「次」につながることもあります。室町幕府成立過程で起こった観応の擾乱(かんのうのじょうらん)です。

うねるような反感にも関わらず、飄々として幕議を進める尊氏に、見かねて直義が抗議をすると、「直義、そちは誰と戦をした。この日の本における武士の束ねは誰ぞ?」と穏やかに尋ねます。
歯ぎしりする思いで「それは兄上、将軍でございます」と言う直義。
「では余が将軍であることを認めるのだな」とさらに尋ね、不承不承認める直義。

負けてなお威厳を失わない尊氏のこの強気は、さらにこの擾乱の後、最後は直義派を一掃することにつながりました。
戦いに勝敗はつきもの。しかし大切な事は、一つの戦闘だけで戦いは終わらないということです。戦う以上死力を尽くすのは当然。しかしそれでも勝利を得られないこともあるでしょう。
どれだけ頑張っても、頑張っただけでは勝利を得られないことは、決して不自然ではありません。

リーダーとして、負けて尚威厳を保てる戦闘能力と、その存在感を保持できるかどうか。これがある限り、勝者による毀損など、いくらでも跳ね返すことが出来ます。
本当の負けとは、このスピリットを失った時のことを言うのだと思います。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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