アクアフレッシュ・YouTube CMで辿るその変遷

2010.09.21

営業・マーケティング

アクアフレッシュ・YouTube CMで辿るその変遷

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 テレビで流れていたCM。その歴史を遡ると、ロングセラー商品の生き残りのヒミツが見えてきた。

 その後、1980年代後半に、アクアフレッシュは赤い歯垢除去成分を加えて今日の3色となった。当時のCMをみてみよう。
 http://www.youtube.com/watch?v=I6SIP7MJ19Q&feature=related

 メインキャラクターは志穂美悦子(長渕剛夫人)だが、子ども役で小さな男の子のお姉さん役として登場する美少女も当時大人気となった。この配役にあるように、キーマンがティーンエイジのお姉ちゃん。ディシジョンメーカー(購買決定者)が母親。ついでに使わされるのが10歳未満の弟というようなDMU構造が典型的だったといえるだろう。

 80年代後半の構造は、そのまま1992年のCMにも踏襲されている。
 http://www.youtube.com/watch?v=zg3tlLJZX68

 キーマンのお姉さんは中高生ぐらい。ついでの弟の役も少し成長している。この頃、筆者の記憶ではアクアフレッシュはCMのキャラクターと同年代の女子中高生に最も支持された歯磨きブランドであったように思う。CMには最もどうでもいいような存在として父親が新たに登場しているが、以降の出番はない。

 CM表現に変化の兆しが現れたのは、1996年のこと。
 http://www.youtube.com/watch?v=-x8VwJPNbvA&NR=1

 お姉さん役の少女が再びローティーンとなり、第二子が妹となるという変化だけでなく、製品の効果をendorse(裏書き・裏付け)する赤・白・青の各々の成分を文字で表現し、その成分を擬人化した外国人を登場させている。
 製品を巡る大きな環境の変化としては、翌97年にサンスターとの契約が終了、「コンタック」等の医薬品で知られていたスミスクライン・ビーチャム製薬(当時の日本法人、現GSK日本法人)による販売に移行した。(Wikipediaより)
 97年以降のCMはYouTube上では発見できないが、典型的なパターンは同製品のWebサイトにある。「驚き、歯のサイエンス篇」「アクアフレッシュ・つやプラス篇」などがそれだ。外国人の登場。3色の色の背景には、歯を科学した効き目が隠されているという訴求パターンである。
 http://aquafresh.jp/index.html

 日本の歯磨き粉市場において、圧倒的なリーダー企業はライオンであり、それをサンスターが追うという状況が長く続いていて、第3位以下は大きく水をあけられている。アクアフレッシュはその後、2002年にGSKが「ポリデント」で知られるブロックドラッグを買収。これにより既にブロック社製品を販売していたアース製薬に販売委託する(Wikipediaより)という状況になった。
 アース製薬が販売する歯磨き粉は、他には知覚過敏用の「シュミテクト」があるものの、一般向け製品はない。また、オーラルケア用品としては、マウスウォッシュの「モンダミン」があるとはいえ、アース製薬というコーポレートブランドとオーラルケアとは距離感がある。故に、アクアフレッシュの過去の知名度・ブランド資産を活かしつつ、海外製品のイメージを強めるという方針に基づいた表現であると考えられる。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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