日本のファッションは単品コーディネートの着回しが主流。でも、世界のセレブは着回しなんて考えません。一度しか着ないドレスもあるので、洗濯なんて気にしない。イタリア製の製品は洗うことを考えていないものもあります。 中国の富裕層も同様。だから、日本のファッションは地味で、トレンドもなく、いつも同じデザインだと思われているわけです。
3.シンプルとエレガンス
日本では格差社会と言われているが、世界中を俯瞰すれば、まだまだ均質社会と言えるだろう。中国の所得格差は日本の比ではない。地域間所得格差、都市農村所得格差、都市内所得格差のどれをとっても10倍以上の格差が見られる。しかも、富が集中する傾向は避けられず、所得間格差は拡大する傾向にある。
日本のアパレル製品は、中国人の眼から見ると、あまにりもシンプルでもの足りない。多くの中国ファッション業界人は「日本製品の品質が良いというのは分かるが、中国人の嗜好に対応していない」「ヨーロッパのブランドに比べて、トレンドの変化に対応せずに、同じような服ばかりが多い」と指摘している。
中国もヨーロッパも階層社会であり、ファッションの主役は富裕層である。したがって、周囲の目を気にする人は少ない。自己主張、個性を大切にし、埋没せずに目立つことが重要だ。一方の日本は均質市場であり、中流向けのファッションが中心だ。「目立ち過ぎずセンスが良い」服を好むのは、常に世間の目を意識する中流階級の特徴でもある。
日本のような中流ファッションがそのまま売れるようになるのは、中国市場の中に、中流階層が増える時期まで待たなければならない。しかし、その市場にはヨーロッパの中流階層を取り込んで成長した「ザラ」「H&M」との競争が待っている。
ある中国高級百貨店の経営者は次のように語っている。「日本のブランドとして意識しているのは、電器製品、自動車、化粧品など。アパレル製品はヨーロッパブランド中心に展開しており、日本ブランドの必要性を感じていない。しかし、中国市場でブランド認知度を高め、富裕層の顧客に支持されるようになれば導入を考える可能性も出てくるだろう」
中国の富裕層の好みは、ヨーロッパのラグジュアリー市場に近い。日本人から見ると、ミセス向けに感じる装飾過剰なデザインがキャリア層に受け入れられているのが現状である。
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2009.02.10
2015.01.26