米国ビジネス史上最速(?)の急成長企業、グルーポンのこれから

2010.09.03

経営・マネジメント

米国ビジネス史上最速(?)の急成長企業、グルーポンのこれから

石塚 しのぶ
ダイナ・サーチ、インク 代表

創業2年足らずで年商5億ドルに達すると予測される超・急成長ビジネス、グルーポン。その魅力の秘密と、今後の独自性維持の決め手について考えてみた。

最近、アメリカでは、どのビジネス誌やブログを見ても、グルーポンという会社の話題で持ちきりだ。グルーポンという社名は、「グループ」と「クーポン」を複合したもので、クーポン共同購入という比較的新しい業態のパイオニア的存在である。「期間限定」のプロモーションをウェブで配信し、その期間内に一定数の購買希望者が名乗りを上げれば、「ディール(取引)」が成立する。たいていのものはディスカウント率50%程度だが、なかには75%引きなど文字通り「破格」のものもある。

2008年創業のグルーポンは、今年、年商5億ドルに達し、一年以内に10億ドルを突破すると予測されている。「史上最速(?)」の成長のスピードは前代未聞の快挙だ。アメリカで一世を風靡した歴代の有名企業を見てみたが、かのアマゾン、グーグルでも10億ドルに達するのに5年を費やし、アップルが8年、デルが9年を費やしている。ウェブの威力で購買力を集束するスケール、スピードともに飛躍的に向上し、それが企業の成長のスピードにも貢献していると思うが、3年で10億ドルとは、かつての常識では考えられなかったことだ。

また、もうひとつ成長の指標として見落とすことのできない「利益」といった面でも、グルーポンはなんと、創業後7カ月にして黒字に転換した。比較として挙げると、2005年に創業したユーチューブなどは、未だに赤字から脱却できていない。

「グループ購買」という仕組みはネット初期から存在したが、当初、その多くは、ウェブの「地理的障壁のなさ」に着目したものだった。それをあえて、「ローカル」に的を絞りこみ、「中小のビジネス」のサポート役として位置付けたところが、グルーポンの特異性である。

そして、グルーポンのもうひとつの特徴として、「おトクな話は人から人へ伝わる」という昔ながらの原理を応用したという点がある。「〇人集まればディール成立!」の触れ込みに触発されて、フェイスブックやツイッターなどを通じて友人・知人の協力を募るから、短期間で、より多くの人にメッセージが伝播される。

生活者にしてみれば、グルーポンは、タウン情報サイトのようでもある。日々のプロモーション情報を通じて、「へえ~、こんなお店があったんだ」と、自分の街の「知る人ぞ知る」ビジネスを発見できる。これが、グルーポンを介してプロモーションを提供する売り手(お店)にとって大きなメリットでもある。今も昔も、スモール・ビジネスにとってはマーケティングが悩みの種だ。オーナーが仕入れ、接客、経理をひとりでこなしているようなビジネスの場合、マーケティングにあてるお金も時間も人もないことが多い。そんなビジネスにとっては、新しいお客さんに、その存在を「見つけてもらう」、そしてあわよくば、そのサービスを「試してもらう」という点で、グルーポンが強い味方になりえる。

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石塚 しのぶ

ダイナ・サーチ、インク 代表

南カリフォルニア大学修士課程卒業。米国企業でNASAプロジェクトなどに関わり経験を積んだ後、82年にダイナ・サーチ、インクを設立。以来、ロサンゼルスを拠点に、日米間ビジネスのコンサルティング業に従事している。著書に「アメリカで『小さいのに偉大だ!』といわれる企業の、シンプルで強い戦略」(2016年4月、PHP研究所)、「未来企業は共に夢を見る~コア・バリュー経営~」(2013年3月発売)、「ザッポスの奇跡 改訂版 - アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略」、「顧客の時代がやってきた!売れる仕組みに革命が起きる」などがある。

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