計画的キャリア開発の危うさ

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2010.08.08

組織・人材

計画的キャリア開発の危うさ

松本 真治
有限会社ワースプランニング 代表取締役

突然、会社が破たんし再就職を余儀なくされたら、あなたは何を武器にしますか? ある企業へ面接に来た元大企業の管理職の方が面接官に「あなたは何ができますか?」と聞かれ、「部長できます。」と答えたという。新卒で入社した多くの人は、自己の意志よりも会社の都合により職務が与えられ、その延長線上、すなわち管理職になるべく計画的キャリア開発が行われてきた。 そこには本来あるべき人材開発の視点は存在しない。

 流動化する人材市場の中で、キャリアがますます重要性を増してきている。しかし、既存の組織で働く人が自己のキャリアについて、どの様な将来像を描いているかといえば、現実には明確に描けていない人が多いのではないだろうか。

 情報化の進展や急速なグローバル化の流れもあり、仕事の進め方も大きく変化してきている。この様な激変する環境変化の下では、自己の描いていたキャリアの将来像が崩壊してしまうことも珍しくない。

 そもそも大企業で勤務する多くの人は、自己の本来希望する職種ではなく、会社に与えられた職種の延長線上に、キャリアを描いてきている人も多い。
 また、会社の戦略上の変更に伴う辞令による職種異動でキャリアチェンジを余儀なくされることもある。いわば会社都合によりキャリアの将来像が崩壊してしまうわけである。

 アメリカのビジネスパーソンは、キャリアチェンジを4~5回行うといわれている。アメリカではジョブチェンジよりもキャリアチェンジにどう備えていくかが重要になってきている。

 今後ますます環境が激変する中では、日本でも同様のことが言われるようになるであろう。経営の破綻やM&Aによる劇的な変化等(キャリアショック)による意図しないキャリアチェンジのリスクは増している。 

 この様な状況下で生き残るためには、組織戦略に則り計画的にキャリアを開発するのではなく自律的にキャリアを開発していくことが必要である。
 要するに、どの様なキャリアショックにも柔軟に対応できる能力を、会社主導ではなく、自己主導で自律的に身につけていくことが求められている。

 では、具体的にどのようにして自律的なキャリア開発を進めていけばいいのだろうか。

 まず、何よりも重要なのは、会社等の第三者から与えられた職務の延長線上ではなく、現在の職務にとらわれることなく、ゼロベース思考で自らの動機に基づくキャリア開発を目指すことである。
 そのためには、自分が将来どの様になりたいか、長期的な将来のビジョンを明確にすることが必要である。この段階では、抽象的なビジョンで構わない。この時、重要なことは自らのバリューを把握しておくことである。自分が重要視する行動規範や価値観(バリュー)とビジョンとの整合性がなければ、ビジョン実現への動機は働かない。

 将来像が明確になったら、冷静に現状を分析することである。意外に知っているようで知らないのが自分自身である。
 今の自分の強みは何で、その強みを活かしきれているか、将来なりたい姿に向け整合性のある行動がとれているか、等について現状を分析し、把握する。できれば客観的(サーベイの活用や他者評価によるフィードバック)に調べてみる。また、自己の現状のみならず、現在の時流や環境等の動向を把握することも重要である。

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松本 真治

有限会社ワースプランニング 代表取締役

人材・組織開発コンサルタント。 人材・組織の潜在力を引き出すアセスメント(サーベイ)の企画/開発/運用から本質的課題を抽出し、課題解決のための最適なソリューション(研修・教育プログラム)の設計/運営までのコンサルティング・サービスを展開中。 人/組織が本来持ち備えている力(潜在力)を引き出し、人/組織が自律的で持続的な成長を遂げていく支援をさせていただいています。

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