PDCAとは ~その効果と問題点

2010.07.02

組織・人材

PDCAとは ~その効果と問題点

川口 雅裕
組織人事研究者 /NPO法人「老いの工学研究所」理事長/一般社団法人「人と組織の活性化研究会」世話人

フィード・フォワードという視点で、PDCAを補完する発想をお勧めしたい。

有名な「PDCAサイクル」。ご存知の通り、『計画(Plan)を立て、これを実行(Do)し、その結果やプロセスを検証(Check)した上で、改善(Action)を施し、次の計画(Plan)を立てる、計画の修正をする。』というサイクルを作ることで、業務改善や品質向上のスパイラルを実現していこうという考え方です。もともとメーカーの商品開発や生産管理の現場から生まれた言葉だと思いますが、すっかり全ての業種・職種で語られるようになり、あらゆる仕事であらゆる場面で通用する考え方として根付いた感があります。

しかしながら、実際にやってみると「PDCAを実行しているが、なかなか改善が進まない。いつまで経っても満足のいくレベルには程遠い。」という実感を持たれることが多い。改善を繰り返した結果、振り返ってみれば商品やサービスに一貫性がない(いつも何かが変わっている)ということもあるでしょう。そして、「この様な結果になるのは、現場のPDCAに対する理解と徹底が足りないからだ」という結論に大体なっているのですが、本当にそうでしょうか。

PDCAにも欠点があります。それは、常に過去を振り返るという行為なので、未来や理想と関係がなくなってしまう、かけ離れていく可能性があることです。PDCAを盲信してしまうと、自分たちが達成したい理想の状態に向かって何をすべきであり、どれくらいまで到達しているかといった考えがないままに、過去の反省・検証・改善を繰り返すことになってしまいがちです。市場やお客様の真の要望やこれからの変化や流行よりも、済んだことが大事になりその改善に視点が集中してしまうのは危険でもあります。

PDCAは済んだこと、過去を対象にして考えるために分かりやすく、つい万能視しがちです。しかし上に書いたように、未来や理想、市場や顧客の行く先を見つめる視点が失われた際には、労力の割にほとんど効果のない活動になる可能性もあるということを理解しなければなりません。問題点や反省点ばかりに目が行ってしまうので、チームの雰囲気が暗くなったり、追及的になって目線が下向きになったりして、それが原因で結果的にブレークスルーが得られないというデメリットも考えられます。

PDCAを効果的な活動にするために、実行しようとしている改善活動が理想や目的に対して効果的かどうかをチェックするために、有効なのは「フィード・フォワード」です。PDCAがフィード・バック(過去を振り返ること)の視点であるのに対して、フィード・フォワードは未来を見据える視点です。PDCAが、市場や顧客からかけ離れた内向きの改善活動にならないためにも、本当に自分たちが行きたいところとは異なる方向に進んでしまわないためにも、フィード・フォワードによるチェックが欠かせません。「このような失敗を繰り返さないために、どうすればいいか?」(フィード・バック)と、「どのようにすれば、あの理想を実現できるのだろう?」(フィード・フォワード)。この両方の問いかけを自分達でやってみるということでもあります。


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川口 雅裕

組織人事研究者 /NPO法人「老いの工学研究所」理事長/一般社団法人「人と組織の活性化研究会」世話人

組織人事関連(組織開発・人材育成・人事マネジメント・働き方改革・健康経営など)や、高齢者・高齢社会をテーマとした講演を行っています。

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