企業が考えるべき「事件」と「事故」の違いと対応

2010.06.25

経営・マネジメント

企業が考えるべき「事件」と「事故」の違いと対応

荒川 大

先日、自動車メーカーの工場内で痛ましい事件が発生しました。そこから考えておきたい企業が対応すべき「事件」と「事故」の違いと対応方針について。

逆に、事故については、労働安全衛生法やPL法によって対策が厳しく定められていますし、ISO規格の認証を受けていれば業務プロセスの標準化が進んでいますので、故意に逸脱しない限りは、安全に業務を遂行することができ、事故そのものをできる限り回避することができると考えられます。

◆ 組織的・人事的リスクマネジメントは法令対応とは異なる

組織運営上のリスク対策を行っていると、弁護士の方々やITリスクマネジメントを提供する方々とは立ち位置が違うため、本来競合しないはずなのですが、どうしても管理しやすいイメージを持つ方々が優先的に企業をサポートしていくことになります。

しかし、問題の本質は「法令及び社内で定められた取り決めに従わないことによって発生する事案」に対して、企業はいかに対応していくのかという点が重要ということです。

そのためには、組織としての連帯感の醸成や、うつ状態の回避、ハラスメント等の「報復」を生み出す様々な状況の回避といったルールを策定するだけではなく、管理プロセスを重視し、幹部・管理職の方々がリスク・センスを持つ必要があるということを共有するところから始めて頂かなければなりません。

法令に対応した取り組みやITセキュリティを駆使して企業情報を守るなど、それらの取り組みは「予防措置」及び「事後対応」として重要であることは否定できません。

しかし、企業犯罪に分類される事件は日々発生しており、退職者による情報漏洩も減ることはありません。従業員による犯罪行為が起きる可能性は、リストラ実施や雇用契約の期間化によって増大していくことは避けられないわけです(生活が不安定になる原因をどこに定めるかによって事件の質が異なってきます)。

加えて、労働法令違反(サービス残業、ハラスメント、不当解雇等)も現在では比較的軽視されていますが、企業が存続するために止む無しという日本的な「雰囲気」がいつまで続くのかは甚だ疑問が残ります。

また、これらの問題が「個人的な恨み」という形でしか解決していかないことも、今後は、企業運営上の重大なリスクとなっていくでしょう。

◆ 組織的リスク対策を考える上で大切なセンスとは

まず、今回の自動車メーカーの事件について、どのようにお考えでしょうか。

1.事件を再発させないように、警備員を増やし、たとえ業務効率が落ち管理コストが増大しても、入退室の管理を徹底する。そして、採用時には個人の性向や精神状態のチェックを厳格化し、日々の生活を調査していく必要がある。

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