NOVAが跳ね、ジオスが空転――日本人に英語は必要ないのか?

2010.06.18

経営・マネジメント

NOVAが跳ね、ジオスが空転――日本人に英語は必要ないのか?

ITmedia ビジネスオンライン
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3年前にNOVAが破たん、今年はジオスがそれに続くなど、英会話学校の不振が伝えられている。主因は受講者数の減少なのだが、なぜ日本人は語学学校で英語を学ばなくなったのだろうか。 [郷好文,Business Media 誠]

3年前にNOVAが転び、今年はジオスが座礁した。

 英会話学校大手のジオスが東京地裁に破産手続きを申し立て、NOVAの事業を継承したジー・コミュニケーションがジオスの事業も引き継ぐことになった。語学学校はどこも不振と言われるが、その主因は受講者数の激減である。『サービス産業業種別実態調査』(中小企業基盤整備機構/2009年)によると、事業所数は大きな変化がないものの、受講者数はピークの956万人(2006年)から451万人(2008年)と、わずか3年で半減である。

語学学校が流行らない5つの仮説


 急に英語が上達したから、みんな通わなくなったのだろうか? いやいや、語学はステップ訓練、体験的にもそれはない。うふふ流に“語学学校がはやらない 5つの仮説”を考えてみた。

(1)フトコロが寒い
 不況続きで教室や習いごとを節約する人が増えた。個人のフトコロだけでなく、福利厚生費という会社のフトコロも縮小、法人需要減もキツい。“企業は人なり”の言葉がホントなら、不況脱出のため、今こそが投資時期だというのに。

(2)時間の余裕がない
 企業の第一線で働く20~30代の人々は、過酷なまでに働いている。リストラの余波で、仕事量がドンと増えた。「帰れない」「休めない」「遊べない」、だから学べない。

(3)差別化の果てに
 マラソンにアドベンチャー、マンツーマンや少人数、お茶の間や聴き流すだけ、美人やイケメン講師、カフェでレッスン……。たかが英語、されど英語。学習方法が多様化しすぎて、どれが一番効くのか迷ってしまう。差別化の果てに、差別化がなくなった。

(4)うさぎの影響
 NOVAの破たんで、受講者が学校事業に不信感を抱いた。影響は甚大だったにせよ、同社の経営破たんは、受講生数がピークを打ち、減少トレンドに入った後である。ダウントレンドに拍車をかけたが、それだけではないようだ。

(5)日本人が海外を目指さなくなった
 「なりたい自分になる」という思いと英語とが結びつかなくなった。海外に出なくても、豊かな国ニッポンで十分。そんな“心理的ガラパゴス”がまん延していないか。

 覚えているだろうか。昔の英語学校のCMで、太平洋に向かって手を広げて「やるぞ~」と吠えるシーン。今は「そんなの恥ずかしいや」となってしまう。「今さら英語なんて」という思いが広がっているのだ。告白すると、私はどちらかと言えばその“恥ずかしいクチ”だったりする。

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