「目標」に働かされるキャリア vs「目的」に生きるキャリア

画像: Christian Schnettelker

2010.06.10

組織・人材

「目標」に働かされるキャリア vs「目的」に生きるキャリア

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

目標は「目標疲れ」を生む。中長期のキャリアにおいて最大の防御(=疲弊から身を守ること)であり、かつ最大の攻撃(=意気盛んに働くこと)は「目的」を持つことである。

 目的をもった人間の働き様はこんなような形になります。

 ―――そうです、円環の形です。

 さてさらに、その働き様に時間軸を加えてみてみます。働き様Aは、毎期毎期、会社からの目標をクリアすべく働きます。上司と面談をして目標を設定し、期末ごとにそれができたかできなかったかの査定があり、賞与が決まり、年収が決まり、それを繰り返していくキャリアの形になります。
 キャリアステージのレベルは年次とともに多少は上がっていくかもしれません。「係長になれた」「課長になれた」「部長になれた」・・・しかし組織の役職によるキャリアステージは会社を辞めてしまえば消失してしまう時限のものです。。

 ……そして、定年を迎える。何かしら業務上の目標があったことが当たり前だったサラリーマン生活から一転、自分自身の今後の人生の目標・目的はまるっきり白紙の状態です。はてさて、それを、自分で設定しなければならないのですが・・・

 一方、働き様Bはどうでしょうか。Bは、いまやっていること→目標→目的が円環になっていますから、それがどんどんスパイラル状に膨らんでいき、働きがいやら朗働感やらが増幅されるキャリアになります。
 そして、時間の経過とともにライフワークのようなものが見えてきて、しっかりとした意味の下、定年後にやりたい選択肢もちゃんと創造できているはずです。

 事業組織で働いて給料を得る以上、組織からの目標は一つの契約であって、受け入れるのが当然のものです。目標があるからこそ成長できることも多々あります。ですから私のように自営業であっても、きちんと目標を立てて自らを律しています。

 問題は、何十年と続く職業人生にあって、他人の命令・目標に働かされ続けるのか、それとも自分なりの意味・目的にまで昇華させて、そこに生きるのか―――この一点です。この目に見えない一点の差が、40歳、50歳になったとき、とんでもなく大きな差になっているものです。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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