子ども手当の使い道。注目企業はどこだ?

2010.06.04

ライフ・ソーシャル

子ども手当の使い道。注目企業はどこだ?

今野 篤
株式会社経営教育研究所 代表取締役

中学生以下に月額1万3000円が支給される「子ども手当」を狙い、旅行会社、遊園地、学習塾、銀行、学資保険などがあの手この手で新商品を売り出している。果たしてその効果はいかがなものだろうか。


6月1日に北海道、新潟、富山3道県の7町村では、一足早く子ども手当支給が始まった。厚生労働省によると、多くの自治体が10日前後の支給を予定し、6月中にはすべての市区町村で支給される見込みだ。

この子ども手当を材料に、支給日開始の6月1日、学習塾大手の東京個別指導学院の株価は前引け7.3%高の249円(17円高)となり、東証1部の値上がり率4位につけた。同様、子供服大手チェーン店の西松屋の株価も上昇した。

今回の子ども手当に該当する上場関連企業は60社以上に渡る。特に子ども手当の影響が強いと思われる「育児」「教育」「玩具」業界を中心に、その経済効果を検証してみる。

育児関連、主婦の味方西松屋に期待大

 育児関連では、子供服チェーンを展開する西松屋が好調だ。毎週、西松屋の新聞の折り込みチラシを見ている主婦も多いかと思うが、とにかく安い! なんと子供服が数百円で買えるのだ。同社の株価は、この3月に年初来高値1,117円をマーク。さらに6月に入り、子ども手当支給開始で思惑買いも続いている。低価格かつ多種多様な品揃いで主婦を迎え入れる同社の戦略は、まさに子ども手当を追い風としている。

 育児用品を展開するユニ・チャームも注目株だ。昨年の民主政権発足前、6,000円半ばだった同社の株価は、6月に入り9,000円台に上昇している。同じく育児用品を展開するピジョンも、昨年の2,500円から3,500円に値上がっている。また、ベビーカーを手がけるコンビも5月に入り値を上げている。子ども手当の支給で、企業、消費者ともに育児に関心が高まっていることは間違いないだろう。

個別指導型塾に期待感高まる

 個別指導型の学習塾を展開する、東京個別指導学院(ベネッセグループ)の勢いがよい。同社の株価は、6月1日に年初来高値263円をマークし上昇中だ。同じく個別指導型大手のリソー教育明光ネットワークジャパンも値を上げている。各社ともに、子ども手当の1万3000円以下で受講できる料金体系にし、より多くの生徒を獲得できるように工夫を凝らしている。

学習塾の場合、子ども手当の他に、ゆとり教育からの転換も大きな追い風となっている。特に子供ひとりひとりに対応出来る個別指導型の人気が高い。これはゆとり教育からの転換により、授業について来れない生徒が続発すると見込まれているからである。

 幼児に絶大な人気を誇る”しまじろう”でお馴染みの、通信教育最大手のベネッセホールディングスも、民主政権発足時や今年の支給に合わせて値を上げている。また、保育園や学童クラブ運営等子育て支援最大手のJPホールディングスは、民主政権発足前後から株価を上げ、現在は1,500円前後と1年前に比べて3倍弱の株価をつけている。比較的低料金な習い事は、今後、子ども手当が引き金となって、活発化する市場のひとつだと言えるだろう。

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今野 篤

株式会社経営教育研究所 代表取締役

教育ビジネスのアナリスト/コンサルタント。専門はフランチャイズ(FC)とデジタル関連。個別指導FCやベンチャーなどの教育機関を経て、2009年に民間教育シンクタンク経営教育研究所を設立。教育と異業種を結ぶエデュイノベーションLLPパートナー。

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