海外子会社を含めた規程体系の考え方

2010.05.20

経営・マネジメント

海外子会社を含めた規程体系の考え方

荒川 大

コンプライアンスやガバナンスが叫ばれる事件・事故が数多く報道されていますが、実際に海外にある拠点を管理する上で、企業は何をどこまで対応すればよいのか。 数回に分けて考えていきたいと思います。

1.2.規程体系を考えるなら国ごとが基本

グローバルな規程体系を考えようとすると、どうしても全世界共通のものを弁護士の方々と相談してと考えてしまうこともあるのですが、実際には、本社や海外子会社にトラブルがあれば、基本的にはその設置されている国内においてその国内法で裁かれることになります(対応する条約次第ですが)。

それでもグローバルな規程体系を考えたいという場合には、規程の中でも上位に位置づく組織、権限、管理(分掌)に関するものに限定し、その他の業務プロセス管理に近いものは一旦、各国対応と分けておく必要があります。

この切り分けができた段階で、親会社にはミッションとビジョンの明確化と、方針の策定及び徹底が必要となってきます。

1.3.会社にとって方針が重要となる理由

日本企業の再生の鍵は、外需であることは先に書きましたが、海外で展開することを考えると、各国の企業と提携したり海外企業を買収したりと様々な形が想定されます。

本コラムは、会社法施行規則で定められた関係会社を中心に捉えていますが、いずれにしても国家・文化・商習慣が異なる地域で展開していく上で、最も大切になるのは「会社の方針」です。

何が良くて、何が良くないのかを明確にしない段階では、各国子会社を管理していく規程は策定することが難しく、サンプル規程をそのまま活用することは、国内規程整備だけを考えても実行力がないことは十分理解されているものと思います。

そこで、海外子会社の規程を整備しようと考えるのであれば、まずは日本国内の親会社の規程が、きちんと会社方針を受けて管理すべきポイントが明確になっていることが重要です。

1.4.親会社の規程から子会社規程の枠組みを作る

海外子会社の規程を、その設置されている国内法に基づいて策定するにしても、その枠組み(何を認め、何を認めないのか)については、親会社が常に理解・把握する必要があります。

そのためには、親会社の方針及び規程に定められた管理項目については、子会社の規程にそのまま反映されていなければなりません。

事業を運営する上での、各国法令対応の部分が、親会社の内容を受けて策定されていなければ、最終的には「担当役員」となる方が一つ一つ管理していかなければならなくなります。

事業スピードが速くなっていく環境において、やるべきことを判断するのが「担当役員」であって、やってはいけないことを判断することに迫られては、競合他社との戦いに勝ち抜くことが難しくなるかもしれません。

やってはいけないことは社内文書としてきちんと管理し、組織及び管理体制を明確にした上で明確な業務プロセス管理を定めておく必要があると考えるのはこの部分になります。

次回は、子会社から考える「規程体系整備の在り方」をまとめます。

3回目からは、規程体系整備の作業プロセスについてまとめていきたいと思います。

続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。