不景気下で最高益・亀田製菓の強さのヒミツを読み解く

2010.05.13

営業・マーケティング

不景気下で最高益・亀田製菓の強さのヒミツを読み解く

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 社名を聞けば「亀田のあられ、おせんべい♪」のサウンドロゴが思い浮かぶ人も多いだろう。「柿の種」や「ハッピーターン」で有名な亀田製菓が11日、2010年3月期連結決算を過去最高と発表したという。その強さのヒミツを読み解いてみよう。

 <「ハッピーターン」で史上最高益の亀田製菓が増配 >(5月12日YUCASEE MEDIA/ゆかしメディア)
 http://media.yucasee.jp/posts/index/3422

 不景気に各社があえいでいる中、売上高は6期連続で最高を更新。経常利益・純利益共に過去最高と何ともうらやましい業績だ。「柿の種」や「ハッピーターン」などの主力商品を中心に戦略を展開し、同記事によると、<価格競争に参加するのではなく総量の調整で乗り切ったり、またTVCMなどで積極的に販売促進を行っていったこと>が勝因であるようだ。また、すでに米国など海外展開をしている柿の種も好調で、今後も海外展開を積極的に行っていく>という動きも見逃せない。

 成長戦略を考えるフレームワーク、「アンゾフのマトリックス」で同社の展開を分析してみよう。
 マトリクスは、縦軸に既存市場で勝負するのか、新市場に展開するのかという市場の軸をとり、横軸に既存製品で勝負するのか、新製品を開発するのかという製品の軸をとる。次にその掛け合わせで、既存市場を既存の製品で深掘りする「市場深耕」、新市場に既存製品を展開する「新市場開拓」、既存市場に新製品を投入する「新製品開発」、新製品を新市場に展開する「(狭義の)多角化」の4象限を作る。

 同社商品の一つ、「ハッピーターン」は徹底した「市場深耕」型の商品である。市場深耕とは、製品の使用用途や使用機会向上などによって、既存顧客の購買・利用を向上させる戦略だ。製品そのものを大きくかえることはない。
 ハッピーターンはうるち米・もち米由来のサクサクとした細長い楕円形のせんべいに、ハッピーパウダーと呼ばれる甘辛の旨味成分の粉が振りかけてあるのが特徴だ。そのパウダーに惹きつけられるファンが後を絶たず、1977年以来のヒットを続けている。ファンは粉に惹かれていることを同社はよく理解しており、せんべいの表面に、粉が付着しやすいようにパウダーポケットと呼ばれる凹凸を付けているのも特徴だ。
 商品ラインナップはユーザーやチャネルのニーズに合わせて、包装容量を変えている他はハッピーパウダーの付着量を変化させている。パウダー2倍や、今春ついに「パウダー250%ハッピーターン」という最強の商品を投入し、中毒状態に近いディープなファンを狂喜させた。

 もう一方の主力商品である「柿の種」は、既存顧客に新商品を次々と提供する「新製品開発」と、新市場に既存製品を投入する「新市場開発」を展開している。柿の種は同社オリジナル商品ではない。元祖は1923年(大正12年)に新潟県長岡市の浪花屋製菓が作った。浪速屋製菓の商品は今日でも新潟土産として県内観光地や駅構内で数多く売られている。他にも「でん六豆」で有名なでん六なども柿の種を製造しており、競合として存在する。
 柿の種は、昨今「フレーバー勝負」が続いている。浪速屋製菓の土産として、チョコやホワイトチョコ、きなこなどをコーティングしたものが人気を呼んでいる。でん六はわさび味を展開。亀田製菓はわさびの他、「スパイシーカレー」味まで投入している。食品業界では、商品が陳腐化しないように、味のバリエーションを新商品として投入するサイクルが早いのが特徴であるが、長い歴史を持つ柿の種がどこまで進化するか見物ではある。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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