「10分1,000円」をどう活かすか?:理美容業界の未来を考える

2010.04.15

営業・マーケティング

「10分1,000円」をどう活かすか?:理美容業界の未来を考える

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 日経MJ・2010年4月11日3面コラム「底流を読む」に「成熟市場の生き抜き方・運営の工夫で成長軌道に」と題してカラオケ店「ヴァリック」と、理容室「キュービーネット」の事例が紹介されていた。キュービーネットは1,000円理容室「QBハウス」を展開している。

 <前髪だけカットするために、美容院に行く?>(2010年4月13日 Excite Bit コネタ)
 http://www.excite.co.jp/News/bit/E1271064714855.html

 <おでこむき出しのボブヘア>であるという、ライターの田辺香氏が、<わざわざ美容院まで前髪だけを切りにいくという知人の話を聞いて、まさか! と驚いた>とある。
 その知人の美容室は<前髪のみのカット料金は525円。通常のカットが約4000円なので、妥当な価格かも>としている。1分100円なら、前髪カットは5分。フルサービスは40分で4,000円なのだろう。筆者の行きつけのサロンは前髪カットは1,050円らしい。フルサービスのカット料金は7,350円。10分と70分。まぁ、そんな感じだ。だとすれば、「法則」は正しいことになる。

 しかし、上記の記事では田辺氏行きつけの美容室の談では<「前髪だけを切りにくる人は、たしかに定期的にいますね」という。ただし、10年前くらいから、その割合は減ってきているそうで、近年では「月に一人いるか、いないか」だとか>という状況らしい。

 それって、恐ろしくもったいないことに感じてしまう。
 なぜなら、昨今人気の「森ガール」の髪型は「前髪パッツン」なのだ。しかも、ただのパッツンではダメなのだ。カット名人である筆者の担当美容師に聞くと、パッツンしながらも微妙にすいて、さらに両端は徐々に長く調節するそうだ。
 表現が至らないので別の美容室の作品だがサンプルをリンクする。こんな感じだ。
 http://h-cata.com/archives/50319900.html

 はっきり言って素人の手に負えるものではない。
 しかし、無謀にもみんな自分で何とかしようとするのだ。「前髪カット」でインターネットを検索すると、その方法を示すページや体験談が多数ヒットする。そして、失敗談も…。

 売り上げ=客数×客単価である。そして、客数には来店頻度も欠かせない。
 美容業界では、やはり不景気の影響で顧客の来店頻度が低下しているという。恐らく、理容業界もそうだろう。
 自分でパッツンして失敗して泣く。そんな顧客の不幸と、店を開けても手が美容師の空いている時間が長いというような店の不幸。それを解消するために、10分間1,000円の前髪やちょっとしたメンテナンスをもっと提供すべきではないだろうか。顧客との接触頻度が上がればそれだけビジネスチャンスも多くなる。シャンプー、トリートメントなどの商品のオススメをするもよし、ネイルやメイクなどのサービスを提供するもよし。顧客のその時々の状況や要望に応えるのだ。
 理容業界もそうだ。既存業界も10分1,000円で、メニューを細かく選べるようにして、顧客の要望に応えればいい。また、「今日はこれからデートなので、ひげ剃りを」とか、「汗をたくさんかいたからシャンプーして」などの要望にも応えられよう。

 ともすると原理原則を忘れて無謀な展開をしたり、もうけのチャンスを見失ったりしてしまう。10分1,000円や1分100円をもっと活用すればいい。
 しかし、理美容業界だけでなく、他の業界も「原理原則」を忘れたデフレ競争に走っているかも知れないのだ。他山の石としたいところである。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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