起業講座４：ASPアワード2010に選ばれたサービス（２）

※1 サイト訪問者のユーザー属性（検索キーワード、訪問回数、アクセスエリアなど）や時間に合わせて、最適なナビゲーションバナーを自動切換えで表示。目的の情報がある場所へ誘導するASPサービス。離脱防止やコンバージョン率向上の効果が期待できる。

「アタックの結果は、30戦29敗。手を上げていただいたのはPE&HRさん1社だけでした。当時、なかなか売れていなかった『ベストセールス24』と、まだ売り始めてもいない『ナビキャスト』しかありませんでしたから、心意気だけ買っていただいたような感じで本当にありがたいと思いました。また、資金調達の難しさも痛感しました。結局、予定の調達金額に届きませんでしたので、何とか私自身も工面し1,000万円を追加で出資しました（※2）。2006年11月、資本金を3,500万円にしました。この増資で調達した資金をもとに、なんとかサービス提供開始にこぎつけて、2007年を迎えました。」

※2 2006年11月に増資した3,000万円の内、森氏自ら1,000万円を出資したことは、事業への強いコミットを行動で示したことになる。

　2007年からは、完成した『ナビキャスト』の販売を開始。はじめは苦戦したものの、徐々に売れ始め、少しずつ実績が出てきた。森氏は、2007年の春から夏にかけて2回目の増資を行うことに決めた。そして、2007年5月に1億5,500万円の調達に成功した。資本金は1億1,250万円となり、キャッシュはだいぶ楽になったという。

■第二ラウンド
　複数のベンチャーキャピタルが引き受けた2回目の第三者割当増資は、1回目とは何が違ったのか。森氏は、次の3つを挙げた。

・ゼロか1社か
「一つ目の違いは、誰も出資していない状態と1社だけでも出資をいただいている状況では全然反応が違いました。はじめの1社が大切なのだと実感しました。」

・プレゼンテーションのブラッシュアップ
「二つ目は、プレゼンテーションの仕方を大きく見直しました。第一ラウンドは、本当に何をして良いか分かりませんでした。29敗もするとそれなりに反省をして、改善を図ることができました。資金調達のプレゼンテーションも、営業と同じように相手の立場に立ってどうしたら受注できるのかをとことん考え、事業計画書やプレゼンテーションで相手がみるポイントを学習して、ブラッシュアップを重ねました。」

・導入実績
「三つ目は、導入実績が出来たことです。当時はまだ10数社くらいでしたが、大手企業様に導入いただくことができました。最初の資金調達のときは、ナビキャスト事業のお客様はいませんでしたが、第二ラウンドは実績と効果をアピールすることができて説得力があったのだと思います。」