辞めた社員に恨まれないように

画像: Daniel X. O'Neil

2007.09.21

組織・人材

辞めた社員に恨まれないように

横井 真人
産業能率大学 教授

最近知り合いが何人かそれぞれの会社を辞めました。辞めた人がマイナスの感情を抱いていると、結局会社は損をするようです。

次に(私が辞めた後に)勤続10年以上の社員には早期退職する際、相当な額の退職金の上乗せをしました。元々社員持ち株会があり、退職時には自分の持分が現金化されるので退職金と合わせればある程度住宅ローンを返済したり、自分でビジネスを興すくらいの資金が手に入るような制度になったのです。人によっては30代で第2の人生を始めることができるのです。もちろん現時点ではこれらの制度も見直しが入っているようですが、少なくとも私の後に辞めた同期・後輩はある期間、自分の人生を傾けた代償(勉強になったことも嫌な思い出もひっくるめ)を世間水準から見ても納得の行くキャッシュで貰えることができたのです。キャッシュで問題を片付けるだけの儲けがあったからではありますが。

会社から見ればこのような仕組みによって若い時代の労働力を確保しつつ、中高年人材の入れ替えを担保できます。もちろん人の入れ替わりが激しい分、それでもマイナスの感情を持って去る人も少なくないでしょう。お金では解決できない心の葛藤もあるはずです。でも納得の行くギブアンドテイクの仕組みがあれば、社員の在籍中・退職後にロイヤリティーをある程度維持することは可能なのです。その会社は一番分かりやすいキャッシュという手段を「ギブ」として使いましたが、何を「ギブ」できるかが、各社の知恵の出しどころとなります。私自身はキャッシュでは貰えませんでしたが、素晴らしい「経験」を積ませてもらったと今でも感謝しています。

ここでのポイントは会社を好きになるには上司・同僚との信頼関係も大事なのと同等に、社員に報いる仕組みも同等に大事だということです。上手なエグジットの仕組みがあり、マイナス感情を処理することができれば、転職した社員が新たな顧客になることもあるでしょう。自分が仕事を頼むなら、内情が分かり、信頼できる先を選びますからね。

会社としてフェアな関係を社員と結ぶ姿勢があるのか、そして社員が「ギブ」を実感できるような制度、またはマネージャー個々人のマネージメントの仕方に反映されているかが問われるのです。どちらも最終的には経営トップの責任に帰します。

前出の知人幹部は多分二度とその経営トップがいる会社とは付き合わないでしょう。知人は実力があるので経営に近いところで今後も仕事をする確率が高いと思いますがもったいない話です。経営幹部であれ平社員であれ、辞めた仲間の信頼を失くすことは大事な将来顧客をも失くすことにつながります。

さて、かくいう私も恨みに思っている会社はないものの、あまり会いたくない人間はいます。同時に私のことをよく思っていない人がいても当然でしょう。私もこれまで相当数の社員の上司であったわけで、考えると自分の業の深さに背筋が寒くなります。

社員が辞める決断をするには色々な理由がありますが、転職が当たり前となった今、社員がどのような感情を辞めた会社と職場の人間に抱いているかがとても大事なテーマとなって来ると思います。

皆さんはどんな感情を今に会社に持っているのでしょうか。
部下の方はどうでしょう。

次回へつづく。

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横井 真人

横井 真人

産業能率大学 教授

個人と組織のパフォーマンス向上を研究。人の行動をスキル、知識、行動意識、感情能力、価値観等の要素に分解し、どの要素が行動に影響を与えているかの観点からパフォーマンスを分析。職場のコミュ二ケーション、リーダーシップ、チームビルディング、ファシリテーション、ソリューション営業、マーケティング等の具体的施策に視点を活用する。

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