CMだけではない!「ライトオン」の生き残り戦略はこれだ!

2010.03.09

営業・マーケティング

CMだけではない!「ライトオン」の生き残り戦略はこれだ!

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 水嶋ヒロが颯爽と歩き、長谷川潤が軽快なステップを刻む「ライトオン」の春の新作ジーンズCM。ユニクロが「ジーンズ帝国」の体制を完成させた市場で何を狙うのか?

 日本のジーンズ市場はユニクロを中核としたファーストリテイリングが既に治めたことを以前の記事で伝えた。
 
「競合をすべて撃沈させるユニクロUJの破壊力」
 http://www.insightnow.jp/article/4987

 ファーストリテイリングは「ジーユー(g.u.)」で格安990円。「ユニクロ」が1990円~3990円の三段階。さらにレディースのみだが、「キャビン」傘下の ブランド「ザジ」「アランシーネ」から4990円と5段階で価格帯全てをカバーする体制が完成させた。品質と価格のバランスに優れた同社製品を、「バリューライン」として標準化されては誰もそれを上回ることはできない。

 競合も座して死を待つことはできない。
 「ライトオン」の平成22年8月期月次売上高前年比情報では<上半期の全社売上高前年同期比は87.4%、既存店売上高前年同期比84.4%>と苦戦が見て取れる。自社のオリジナルの「BACKNUMBER」ブランドの「ニューシャイニージーンズ」。水嶋ヒロ、長谷川潤をCMに起用した、新作「LIGHT SHINY DENIM」は生き残りをかけた起死回生の一手なのは間違いない。しかし、ファーストリテイリングの完璧な布陣で蟻の這い出る隙間もない市場のどこに活路を見いだすのか。

 ライトオンは「ニッチャー戦略」に大きく舵を切ったと考えられる。
 チャレンジャーはリーダーに戦いを挑む。正面攻撃や側面攻撃、時にゲリラ的に。しかし、もはやファーストリテイリングに戦いを挑んで市場のパイを切り取ろうとするのは無理だ。だとすれば、「独自の生存領域」を確保するしかない。
「ニッチ」の原義は“飾り物などを置く壁面のくぼみ”であり、また、“(人・物に)最適の地位(場所・仕事)”を表わす。では、いかにして「最適の地位」を確保するのか。それには、ターゲティングとポジショニングの精緻さが欠かせない。

 ジーンズにおけるニッチャーとしては、一つは「プレミアムジーンズ市場」のプレイヤーがいる。1990年代後半に登場し、ハリウッドスターなどが愛用したことから「セレブジーンズ」などともいう。今月、メルマガ登録で「Tシャツ0円販売」というニュースで話題になった、イタリアのブランド「ディーゼル(DIESEL)」もその一つだ。海外ブランドがプレミアムジーンズとして設定している価格帯は2~3万円。高いものでは5万円程度のものもある。さすがに誰でも買える価格ではない。また、カジュアルウェアというより、かなりおしゃれな着こなしを求められるため着る者を選ぶ。つまり、完全なニッチャーなのだ。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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