プロのファシリテーターが考えているたった一つの大事なこと

2010.02.24

組織・人材

プロのファシリテーターが考えているたった一つの大事なこと

木田 知廣
シンメトリー・ジャパン株式会社 代表

「ファシリテーター」って聞いたことありますよね?  ・会議を上手く仕切ったり、  ・人前で話して納得と共感を得たり、  ・周りを巻き込んで社内の改革を推し進めたり する人のイメージですが、その一番大事なスキルは何か想像つきますか? それは、頭の中に「階層構造」を持つことなんです。「PFD三層構造」と呼びますが、頭の中で具体と抽象を行ったり来たりする、ファシリテーターの「キモ」とは…

「ファシリテーター」はずいぶんと耳になじみが出来て、「ザ・ファシリテーター」なんて本もあるぐらいでなんだかかっこよく響きますね。

私自身がその活動に手を染めたのは、1998年ぐらいで、その頃はそんなかっこいい言葉はありませんでしたから、ディベートの派生、みたいな感じでした。

しかも、私自身は非常にユニークな経験とスキルセットを持っていて、一言で言うならば、「教える人を教える」。英語では"T3 (Train The Trainer)"なんて言いますが、ビジネススクールの裏方や、マネー教育機関の代表として、カリキュラムの立案から講師のサポートまで広く関わって来たのです。

その過程で、「ファシリテーターとして教えることってなんだろう?」とすごく考えました。

というのは、たとえ優秀なビジネスマンであったとしても、最初から教えるのが上手な人は少数派。

「この人の持っている知見はすごい!」と思って講師を頼んだとしても、必ずしも聴衆を満足させられるわけではないんです。これ、想像してみて欲しいんですが、けっこう恐怖ですよ。自分が呼んできた講師の人が教壇でスベりまくっていて、しかも自分はそれをコントロールする術はない…

同時に、フラストレーションも感じて気分は最悪。

だって、講師の方はみなビジネス上の素晴らしい知見を持っている人ばかり。なのに、ファシリテーターとしてのスキルが備わってないだけで、その深くて広い知見に触れることが出来ないなんてもったいないじゃないですか。

なので、どうしたらこれが伝わるんだろう、というのをすごく考えて来たのです。

具体と抽象を行ったり来たり

で、その結論が、「PFD三層構造」というもの。具体的には、

 D (ディレクター)層
 F (ファシリテーション)層
 P (プレゼンテーション)層

という抽象度で分けた三層で議論を整理する、と言うノウハウです(上にいくほど抽象度が高くなっています)。

これ、とっても重要で、なぜって人前で話す場合、多くの人は目に見えるプレゼンテーション層しか意識しないから。

たとえば、先日の日経新聞プラスワンに紹介されていた記事、憶えてます?

スピーチは得意?というテーマでアンケートがされていましたが、「どちらかというと苦手」まで含めると、なんと7割近い人が苦手とのこと。その理由の最大のものは、「緊張したりあがったりする」からで、逆に、「上手なスピーチ」にもっとも大切だと思うことは、

次のページ目に見えないところにフォーカスするのがファシリテーター

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木田 知廣

シンメトリー・ジャパン株式会社 代表

経営大学院立ち上げという類まれなる経験をした「人材育成のプロ」

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