居抜きよりM&Aがお得な5つの理由

2010.02.17

経営・マネジメント

居抜きよりM&Aがお得な5つの理由

清水 美帆
株式会社ビジネス・ブローカレージ・ジャパン 代表取締役

店舗経営者にとって、いつかは必ず迎える「閉店・撤退」という選択。原状回復をして通常の撤退をするよりも、居抜き物件としての売却をするよりも、M&Aとして売却するのが最もメリットがあるのをご存知ですか?話題の居抜物件とM&Aについて、それぞれのメリット、デメリットを詳しく解説します。

具体的に居抜きよりM&Aがお得な点として、まずM&Aの場合、居抜きに比べて、譲渡代金が高いという事です。居抜きの場合の市場価格は1円~500万円が相場ですが、M&Aでの売却価格は年間実質営業利益(株式譲渡の場合には実質経常利益)の3倍の数値に、有形固定資産の残存簿価額(株式譲渡の場合には純資産)を足した数字が売却金額の市場価格となりますので、居抜き物件として売却するよりも、売り手の事業としての功績が価格に反映されて、居抜きよりはるかに高く売却できるという訳です。

次に、居抜きに比べて、買い手が見つかる可能性が高いのがM&Aです。居抜きの場合、「千三つ(せんみつ:千に三つの割合」という言葉で表現される様に、赤字撤退での売却がほとんどなので買い手に比べて売り手が多く、買い手を見つけるのが困難と言われていますが、M&A市場では、売り手より買い手の方が多く存在する為、ファイナンシャルアドバイザーと呼ばれるM&A仲介会社に依頼をし、市場価格を参考に適正価格で売却すれば、より確実に買い手を見つける事が可能となります。また、居抜き(造作譲渡)の場合、内装や設備といった造作が売買の対象となりますが、M&Aの場合、買い手となる新しいオーナーは、通常、そこで働く従業員も店舗もそのままの状態で引き継ぐ為、単にオーナーチェンジをするだけ、という事になります。つまり、従業員は新しいオーナーの下で継続雇用をしてもらう為、売り手オーナーは従業員をクビにする必要がなく、また取引先もそのまま引き継ぐ為、取引先やお客様にも迷惑をかけずに撤退する事を可能にします。つまり、従業員は職を失うも無く、売り手オーナー以外にも、従業員、取引先、お客様にとっても最適の方法なのがM&Aなのです。更に、売り手である創業オーナーがこれまで大切に育てあげた事業と従業員をそのままの状態で存続してもらえるばかりか、経営手腕のある買い手が新しいオーナーとなれば、新しいアイデアや手法でこれまで以上の発展も期待できます。その一方で、売り手はハッピーリタイア生活を迎えたり、譲渡代金で新しい事業を行う事ができるという訳です。以上の点が、居抜きよりM&Aで売却する方がお得な5つの理由という事になります。

この様に良い買い手が現れ無事成約が出来ればメリットばかりのM&Aですが、しいてデメリットといえば、売り手オーナーは、買い手となる新しいオーナーに対して引き継ぎを行う必要があります。買い手にしてみれば、「ノウハウを買う、時間を買う」という意味合いでのM&Aですので仕方がありませんが、通常は2週間程度の引き継ぎを行います。もしも引き継ぎの期間が1か月以上に及ぶ場合には、売り手は売却金額の他に顧問報酬を買い手となる新しいオーナーから受け取りながら、終了の日を契約で定めて少しづつ現場を離れていくという事をします。

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清水 美帆

株式会社ビジネス・ブローカレージ・ジャパン 代表取締役

JMAA認定M&Aアドバイザー(CMA)

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