自分ができていないことを部下に教えてはいけないのか?

2010.02.06

組織・人材

自分ができていないことを部下に教えてはいけないのか?

小倉 広

「言行一致」 リーダーに強く求められる資質の一つだが、実践することは難しい。 かといってそれができるようになるまで、同じことができないメンバーに対して何も言わなくてよいものか? さて皆さんはこのような問いにどんな回答をするだろうか? 私ならこう回答するだろう。 「痛みを伴って部下に率直に指摘する」

つまり、覚悟をして「言行不一致」を行っているのだ。
メンバーからの信頼を失うのをわかっていながら、「痛みを感じながら」言行
不一致の指摘を行う。

この「痛みを感じながら」というところが大切なのだと思う。

そして、そこで失ったメンバーからの信頼ポイントを取り戻すために、そのメ
ンバーから信頼を得る行動を積み重ねるのだ。

さらに望ましいのは、その順番を逆にすることだ。
つまり、あらかじめ日頃のメンバーとの関係において信頼ポイントを貯金して
おく。

メンバーの気持ちや立場をおもんばかり気にかけてあげる。
メンバーが困っている時は自分の仕事を投げ出してでも力になってあげる。
メンバーの強みを認め敬意を払い一人の人間として尊重する。
メンバーとの小さな約束を破らずきちんと守っていく。

こういった行動を日頃から積み重ねることにより、メンバーとの間に信頼関係
を築いて貯金しておくのだ。

そして、ここぞ、という場面では貯金を引き出す。
残高を減らしながらも、嫌われてでも言うべきことをきちんと言う。
これがあるべき姿だろう。

その後は、また日頃の関係に戻る。そして、またぞろ信頼の貯金を再開するの
だ。

リーダーシップとは「組織を一定の方向へ導く影響力」のことである。
「人を動かす力」と言い換えてもいい。

そしてリーダーシップの源泉となるものは、相手との信頼関係だ。
信頼関係が強ければ、多少の無茶を言おうが言葉足らずだろうが、相手はあな
たの思いを汲んでくれる。

「あの人であれば、きっと悪いようにはしないだろう。僕のためを思ってくれ
 ているに違いない。まずは信じてやってみよう」

こう思ってくれるのだ。

しかし、信頼関係が無ければこうはならない。どんなに相手を思った言葉を発
してもそれを裏読みされてしまう。悪いようにねじ曲げて取られてしまうのだ。

「ていのいいことを言っているが、信じられない。どうせ自分が楽をしたくて
 仕事を僕に押しつけているだけなのだろう。やってられないよ」

こう思われてしまうのだ。

「何を言ったかではなく、誰が言ったかが人の心を動かす」

リーダーは、ここぞ、という時に切り札を切れるだけのカード、すなわち信頼
を日頃から集めて貯蓄しておかなければならない。

そうでなければ、仕事にならない。人を動かすことはできないのである。

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