知的なボランティア、「プロボノ」

2010.01.30

仕事術

知的なボランティア、「プロボノ」

猪口 真
株式会社パトス 代表取締役

米国では弁護士などを中心に、NPOなどの非営利団体に対し、ボランティアでスキルや知識を提供しているという「プロボノ」という仕組み。日本でも新しいワークスタイルとして定着するか。

日本には、相当数の予備軍が存在するはずであり、今年が「プロボノ元年」となる可能性は十分にある。また別の観点から見ても、この「プロボノ」への参加が増えてほしいと思う理由がある。

ひとつは、プロボノとして参加することで、自分自身のビジネススキルがどの程度通用するのかが明確にわかるということだ。通常のビジネスには常に価格が伴うので、少しだけクオリティが下がると、その分価格を下げれば、どこかで購入ポイントは存在するだろう。しかしボランティアゆえに価格がなく、純粋にスキルや知識が試されることになる。自分の会社業務以外で、確実に成果につながるスキルを持つことが簡単ではないことを実感できるだろう。もちろん、普段では会うことのできない優れたスキルを持つ人たちと交流することで自分の成長につなげることが可能だ。

次に、「社会のための貢献」「望む人への手助け」は我々のビジネスにおいても、譲ることのできない原点であるということだ。結果的に「どれだけのユーザーニーズに応えることができるか」がその後のリターンに比例するのであり、自分のビジネスに対する視点を見直す格好の舞台になるはずだ。売上の減少に悩まされる現状の中、原点を見失う組織は少なくない。
また、すぐれたスキルを持ちながら、会社の持つ倫理観や価値観にそぐわず、ストレスを感じるビジネスマンは多い。社会貢献の目的が自分の価値観と一致するNPOを見つけることができれば、そうしたビジネスマンがいきいきと仕事をすることができる場になることは間違いないだろう。

最後に、こうしたすぐれたプロフェッショナルの人材が交流する場を通じて、新しいビジネスや社会貢献の機会が生まれるチャンスが、提供する側にも訪れるはず。ひとつのプロジェクトを成功させることができればさらに機会は増え、これからのビジネス人生に大きな影響を与えるだろう。

現在多くののビジネスマンが、自分が所属する会社の中で大変な苦労をしている。とてもボランティアなんて、と言う人も多いだろう。しかし、自分のできる範囲の中で、自分の価値観と一致するプロジェクトを選ぶことができる上に、いろいろな人と関わることでき、自分の成長につなげることができるのであれば、ひとつのチャンスだと見ることもできるだろう。

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