「FORST」を使った組織・人材の診断と開発とは

2010.01.14

組織・人材

「FORST」を使った組織・人材の診断と開発とは

川口 雅裕
NPO法人・老いの工学研究所 理事長

組織や人材を「FORST」というフレームを使って分析し、その開発を図る方法をご紹介します。

組織におけるメンバーの言動は、「何に従ってなされるか」という観点から、次のように5段階に分類できます。

①感情に従う :自分の率直な気持ちや感覚がそのまま表れる言動
②命令に従う :リーダーの指示や周囲からの要望に合わせた言動
③規則に従う :約束事や予め決められた役割・手順に則った言動
④状況に従う :経緯や流れ、その場の様子から判断して行う言動
⑤目的に従う :到達すべき所、達成すべき事を目指して行う言動

子供の成長になぞらえると、小さな頃は自分の思いつきやその時の感情が行動を支配していますが、だんだんと親や教師の言うことを聞いたり、仲間の言うことに耳を傾けるようになり、次にはルールというものを意識し、それを守ることができるようになってきます。もう少し大きくなってくると、場の空気を読むようになるし、全体から考える、前後を考えることができるようになり、更に、目標を意識しながら取り組むことができるようになれば、もう大したものです。

①感情に従う(Feeling)、②命令に従う(Order)、③規則に従う(Rule)、④状況に従う(Situation)、⑤目的に従う(Target)。①から段々と理性的になっていくように並べた、組織における言動の五分類「FORST」です。

組織における言動は理性的であればよいかというと、一概にそうは言えない訳で、⑤が最も優れた言動であるということではありません。率直に感情を表わすことも大切ですし、指示やルールに従うのは当然であります。目的の達成が大事とはいえ、その場の空気や状況を無視していいということにはなりません。つまり、個人としても組織としても、これらのバランスが大事で、どれか一辺倒の言動をとるのが危険だということになります。

例えば、「常に感情的な発言をする」、「指示や命令を待ち、それを忠実にやることだけを考えている」、「ルールや前例に対して盲目的で、仕事に工夫やヒネリがない」、「その場の雰囲気を読むことばかりやっていて、自らの主義主張が感じられない」、「目標を達成することにつながらないような役割や仕事を軽視している」といった振る舞いは、個人が組織に貢献するという点においても、組織の成果や活性化という点においても問題があります。

この5分類から、組織風土、リーダーシップ、人材の育成・配置を考えることが可能です。まず、自分たちの組織は、どのような言動が多いかを考えます。五角形を使ってチャートにしてみれば、凹凸がはっきりして分りやすいかもしれません。そして感情的言動が凸であれば「F型」、リーダーの命令に従う人が凸なら「O型」、互いに配慮しながらその場の雰囲気・状況を変えないように仕事を進めることが多い場合は「S型」というように分類してみます。これらの組み合わせもあるでしょう。官僚組織であれば「OR型」といった具合です。

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川口 雅裕

NPO法人・老いの工学研究所 理事長

「高齢社会、高齢期のライフスタイル」と「組織人事関連(組織開発・人材育成・人事マネジメント・働き方改革など」)をテーマとした講演を行っています。

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