だから調達・購買業務はコスト削減額で測れない

2010.01.12

経営・マネジメント

だから調達・購買業務はコスト削減額で測れない

中ノ森 清訓
株式会社 戦略調達 代表取締役社長

前回、調達・購買業務のパフォーマンスはコスト削減額で測ってはいけないとお伝えしました。それには、調達・購買業務の特性が大きく関わっています。今回は、調達・購買業務の遂行・改善、そのマネジメントに役立て頂けるよう、調達・購買業務の特性について考えます。

次に、調達・購買業務の特徴として「多様性」を挙げます。多様性というのは、企業が買う品目は様々ある事、品目が違えば、先ほど結果を大きく左右すると述べた仕様、制約、市況などの外部要因がまったく異なるため、同じ調達・購買業務といってもやるべき事はまったく異なる事、加えて、継続して購入している品目であっても、先ほど結果を大きく左右すると述べた仕様、制約、市況などの外部要因が刻々と変わっており、継続品目の調達であっても時期が違えば、必ずしも同じ業務ではなくなっている事といった調達・購買業務の特性を指します。

三番目の特徴として、「相対性」があります。相対性というのは、調達・購買部門が決めた取引先、価格、取引条件が最善であるかどうかを測定する絶対的な基準を、マネジメントだけでなく、当の調達・購買部門、担当者も持っていないという事です。

それには二つの理由があり、一つは、先に説明した調達・購買の多様性です。同じ品目の調達であっても、成果を測るための環境条件が変わってしまうので、絶対的な基準が持つのは困難です。次いで、絶対的な基準を持つのはコスト高という点です。理論的には、ある品目を調達する時に、可能性のあるすべてのサプライヤにコンタクトし、あらゆる取引条件の可能性を追求して交渉すれば、必ず最善の取引先と最善の条件で取引ができます。

でも、誰もそんな事はしません。なぜなら、そんな事をしていたら、手間ばかり掛かってしまい、コスト削減効果よりもそれに掛かる業務コストの方が上回ってしまいます。ですので、取引先、取引条件の決定は、多かれ少なかれ「まあ、こんなもんじゃない」という感覚的な決め方になっています。最初から適正な価格で買っていれば、コスト削減に一喜一憂する事はないのですが、現実はなかなかそのようにはなりません。

費用の先送り、費目の付け替え、見積操作など、成果が挙がっていないのに、成果を挙げたように見せる方法が横行するのも、調達・購買業務の相対性により、パフォーマンスを測る絶対的なものさしがない事によります。

最後に、調達・購買の特性として「不可逆性」を挙げます。不可逆性というのは、サプライヤを選定、取引条件を決定してしまうと、後で改善の余地を見つけたり、マネジメントが不満を感じたりしても、なかなか決定を覆す事ができません。「合意した条件を反故にする会社」というレッテルが張られると、その取引先だけではなく、悪い噂はすぐ業界に広がりますので、その後の多くの調達に支障をきたします。

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中ノ森 清訓

株式会社 戦略調達 代表取締役社長

コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます

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