価値訴求戦略・ライオン「チャーミーマイルド」はどう来るか?

2009.12.09

営業・マーケティング

価値訴求戦略・ライオン「チャーミーマイルド」はどう来るか?

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 ライオンが台所洗剤の新製品を発売した。その意図を考察してみよう。

 ライバルの訴求ポイントをWebサイトやCMからもう一度整理してみよう。
 P&Gの「時間短縮」は、新たな価値の提案である。CMのキャラクターである「ちはるママ」ことタレントの新山千春がWebサイトでも「うれしい!浮いた時間で何しよっかな♪」と言っている。この「時間短縮」は洗濯用液体洗剤市場での強力な訴求ポイントとなっている。花王は「アタックネオ」ですすぎが1回で済むという新機能を実現し、「節水・節電・節時間」としている。そして、それを追って開発され来年1月に発売されるライオンの「トップNANOX(ナノックス)」も同様の機能を盛り込んだ。洗濯用洗剤で同様の製品を持たないP&Gは食器用洗剤でどの価値訴求をしているとも考えられる。
 花王は「汚れ落ちの実感」だ。人形のアニメーションによるCMでも、食器をこすってキュツキュッと鳴らす様子が30秒CMで何と6回も演じられている。汚れ落ちを体感する気持ちよさを伝えようという「情緒的価値」の訴求だ。

 ライオンが現在打ち出しているのは、主婦の過半が抱える「手荒れ問題」に対する「課題解決」である。従来からの同製品のポジショニングとUSP(Unique Sales Proposition=その製品ならではの価値)にブレがない、伝統的な訴求であるといえる。但し、ライバルの両社は「新たな価値」や「情緒的価値」など、ひとひねりした訴求ポイントを持ち込んでいるといえる。
 「チャーミーマイルド」は今月中に全国発売となる。CMやWebサイトでの訴求もそろそろ始まるだろう。2001年頃には山崎まさよしがCMソングとして「てをつなごう」を歌い、従来からの「手にやさしい訴求」をしていた。今回はどうなるか注目したい。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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