3つの仕事~「塗り絵」・「油絵」・「切り絵」

2009.11.23

組織・人材

3つの仕事~「塗り絵」・「油絵」・「切り絵」

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

「油絵」的な仕事をベースとし、ある部分、「塗り絵」的な仕事が混じってくる。そして時に「切り絵」的仕事に挑戦する―――それがキャリアを健全にひらくサラリーパーソンの姿。

まず、仕事は大きく分けて
「与えられる仕事」
「自分でつくり出す仕事」の2つがあります。

与えられる仕事とは、
すでに他者(上司か、会社組織か)が決めた仕事があって、
あとはあなたが正確にやりこなす仕事です。

絵で言えば、 「塗り絵」のようなものです。
紙の上には、あらかじめ線で絵が描いてあり、その枠内に色をつけていく類のものです。
そこで問われるのは、どんな着色剤を使うか(水彩絵の具か、色鉛筆か、ペンキかなど)、
どんな配色にするか、どう枠からはみ出さないようにていねいに塗るか・・・
くらいのものです。

さて、自分でつくり出す仕事は、さらに2つに分かれます。
「積み重ねていく」仕事と、
「伸(の)るか反(そ)るか」の仕事の2種類です。

両者とも、何を描くかということは自分でイメージしなくてはなりません。
その点で、塗り絵とは全く違うレベルにあります。

「積み重ねていく仕事」とは、
いわば「油絵」的な仕事をいいます。
つまり1つ1つの絵筆さばきを何千回、何万回と重ねていって
やがて1枚の大きな作品をこしらえるというものです。
整理して言えば、
持続・発展の仕事、ローリスクでシュア(手堅い)リターンのもの、
到達点をある程度予測しながら仕上げていく仕事です。

この仕事が比較してローリスクであるというのは、
油絵の場合、仮に筆運びや色付けに失敗したとしても、
再度上から新しい絵の具を塗れば修正がききます。
ひとつひとつの意思決定や行動に時間をかけることができ、
しかもやり直しができるという意味で、リスクが低いということです。
ですから、長い期間に労力を注ぎ込み大作を仕上げることも可能になります。

一方、「伸るか反るかの仕事」は、
まさに「切り絵」的な仕事のことであり、リスクの高い仕事です。

いざ、やってみなければ結果はわかりません。後戻りもできません。
経営者の仕事や、起業(独立起業はもちろん企業内起業も含む)的な仕事はこの典型です
言い換えれば、英断・開拓の仕事です。

不測の状況の中での一挙手一投足が、その事業の成否に大きく影響します。
いとも簡単に失敗するときもあれば、
本人が予想だにしなかった素晴らしい結果が出るときもあります。

◆「塗り絵」仕事の繰り返しでいいのか?
私たちは職業人として、日々いろいろなレベルの仕事をしています。
塗り絵的な仕事をずっと繰り返してキャリアを終える人もいれば、
油絵的な仕事を丹念に続けて、
大小を問わずいくつかの作品を業績として残していく人もいます。
また、新規事業の立ち上げや全く新しい会社を興すという切り絵的な仕事に情熱を燃やす人もいます。

次のページ 「塗り絵」的な仕事にどっぷり浸かったままいると、

続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

フォロー フォローして村山 昇の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。