映画でみる「ブラック企業」 (第1回)ブラック会社の特徴って?

2009.10.27

組織・人材

映画でみる「ブラック企業」 (第1回)ブラック会社の特徴って?

新田 龍
株式会社ヴィベアータ、株式会社就活総合研究所 代表取締役

「ブラック企業」というコトバ、今はもう説明不要でしょうか。 仕事がハードすぎる割に給与も低く、ワンマン社長からコキ使われるような「報われない会社」のことですね。 今秋公開の映画を透かして、ブラック企業のリアルを分析していきます。

②給与・待遇
業界構造や利益率の問題で給与が低いというのはよくあることですが、ブラック企業は「そもそも給与を払う気がない」「基本給を極力低く抑えようとする」「あえて昇給させない」といった形で、故意に社員に不便を強いるのです。 映画内でも、「お前は営業担当じゃないから」と、クライアント訪問に要した交通費を払わない場面がありましたが、確信犯的ブラックですね。 

労働に対して正当に報いる気がない会社は、「感謝の気持ち」を忘れてしまっているのです。 それは、企業活動のあらゆる面に社風として出てくるでしょうし、本当に優秀な社員の離反を招くことになるでしょう。 そうなればお客さんだって気づきます。 そんなブラック企業は長い視点でみると、安泰ではないはずです。

③仕事内容
いくら仕事がハードで給与が安い「社員にとってのブラック企業」でも、その会社の商品やサービスに対してお客さんが満足し、お金を支払う限り、その会社は存続していきます。
映画でも、社員総出・休日返上でシステムをつくって、なんとか納期に間に合わせる場面があります。 社員にとっては生き地獄でしょうが、お客さんにとっては安価で早期に仕上げてもらって有り難い。 その点、ブラック企業の存在価値は十分あるわけですね。

ただし問題なのは、お客さんにメリットのない商品やサービスを売りつけ、暴利をむさぼるような悪徳会社ですね。 契約単価が高い商材を個人相手に営業する業種でしばしばみられるパターンです。 営業担当者の懐に入る成果報酬も高額になりますから、彼らはお金のために口八丁手八丁でがんばり、会社も潤う。 お客さんと、真面目に働く社員が報われないような会社に存在意義はありません。

 
④社風・人間関係
組織をマネジメントしていくには、「一体感のある社風」や「強力なリーダーシップ」的なものが必要になります。たまにはそれが強権的になってしまったり、理不尽に感じてしまうこともあるでしょう。 映画内でも、独善的で普段から罵声ばかり浴びせる「リーダー」と、その腰巾着のような「できない先輩」がデフォルメして描かれています。 ブラック企業では実にありがちな光景です。 

そんな中でも主人公は、唯一尊敬できる先輩社員を心の拠り所にして成長していきます。周囲の環境がどうあれ、このようなロールモデル的存在を見つけることができれば、ブラックな環境といえども救われるはずですね。

⑤経営者・上司
最終的に、会社をブラックにしてしまっているのは誰か? いろいろな意見がありますが、「経営者」が占める部分は大きいでしょう。 創業期や、会社の売上が厳しい時期など、労働環境が劣悪になってしまう場面というのはどんな企業でも例外なくあります。 問題は、経営者や上司が「社員に大変な思いをさせて忍びない。状況が改善したら、なんとか報いてやりたい」と思っているのか、「オレたちのためにシッカリ稼げよ。 稼げないやつには存在価値なし。 社員にカネをかけるなんてもってのほかだ!」と思っているかの違いにあります。

ブラック企業では、後者のようなマインドが特徴的ですね。 こればかりは、入社してみないと分からない部分もあり、事前に見抜くのはなかなか難しいところです。 映画の中では、いかにも優しげな印象の社長が登場しますが、彼の真意はどうでしょうか… それは観てのお楽しみということで。 

ではまた、第2回でお会いしましょう。

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新田 龍

新田 龍

株式会社ヴィベアータ、株式会社就活総合研究所 代表取締役

キャリア教育プロデューサー ブラック企業アナリスト 大学講師 HRMストラテジーコンサルタント JCDA認定キャリアデベロップメントアドバイザー 日本キャリア開発協会、東京商工会議所会員 早稲田大学卒業後、東証一部上場企業で経営企画、事業企画を経験。 その後人材サービス大手企業にてコンサルタントおよび人事採用担当等を歴任。 現在は人事戦略とキャリア教育に関するコンサルティング会社を2社経営。

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