しゃらくさくない王将のクラシック・マーケティング

2009.08.12

営業・マーケティング

しゃらくさくない王将のクラシック・マーケティング

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント

個人的には今、王将についてマーケティング的に褒めることほど恥ずかしい行為は無いのですが、褒めたいと思います。それは王将がヘソマガリな私にドンピシャな、非ナウ・マーケティングで成功していると思うからです。何よりそのあまりの王道ぶりにしゃらくさく無いところに好感が持てます。

マクドのクォーターパウンダーだの¥0コーヒーだの、絶妙だの、ティーザー・マーケティングだの、値入ミックスだの、クロスセーリングだの、ブレーンバスターだの回転足4の字固めだのは、もちろんマーケティング手法として、いろいろな研究から生まれたものだと思います。(後半は違います。念のため)

しかし今のネット社会では、クォーターパウンダーのやらせ行列が瞬時に露呈、暴露されてしまったように、仕掛けそのものが読まれてしまう時代になりました。プロレスの流血でショック死してた時代とは違い、「ありゃジュースつって、仕込んどくんだよね」ということは素人でも知っています。いろいろなマーケティング手法も、B-1がもてはやされたバブル時代にほぼペンペン草も生えないほどに刈り尽くされ、今更全く意表を突くような画期的手法というものは、そもそも生まれにくい土壌だと思います。
そんなやりにくい環境下、王道をずんずん行っているのが王将だと思いました。

ブレイクのきっかけはテレビ朝日「雨トーク」の「王将芸人」と言われています。私は毎回欠かさず見てるので、アレ見た翌日は王将に駆け込みましたもん。そりゃ食べたくなりますよ。特に鳥唐。
日ごろダイエット&健康上の理由から、自分から進んでは食べない鳥唐ですが、あの「魔法の粉」(オイオイ、大丈夫か、時節柄?!)と呼ばれるオリジナルスパイスをかけて食べる、という賞味方法まで語られちゃあ、居ても立ってもいられません。

もちろん王将スポンサードは提供クレジットには出ていませんでしたから、本当に現物提供だったのだろうと思うのですが、それはともかく、「おいしそう」というメッセージを1時間ずっと伝えることに成功しました。

ちなみにそれと連動するかのようにテレビ東京「カンブリア宮殿」での大東社長による王将のすべて、これまた雨トークとは別に、「やっぱギョーザ食べたい!」気を呼ぶのに十分でした。

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プレースメントというPR手法があります。
アパレルブランド等が、自社製品をテレビの番組や映画等に提供し、さりげなく視聴者に商品告知をする方法です。広告が目当てではないので、クレジット等は出ないことがほとんどですが、時計の盤面が画面に大写しになったことでバカ売れしたスイスのミリタリー時計等、実はけっこう行われているものです。

じゃあ王将はどうしているのでしょうか。ドラマに出すという強引な手もあるかも知れませんが、実に巧妙な露出と展開をしています。つまり「あざとさ」が無いのです。
ネットで素人にもマーケティングメソッドが知れ渡るようになりました。しかし同時にその底も見えてしまい、かつて80年代のようなマーケティング神通力は衰退していると感じます。そんな中、堂々と商品・ブランド告知を進める王将。時代をしっかり読めていることが立証されているのではないでしょうか。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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