ウォールマート流が日本の風土に合わず苦戦していた西友が、2008年からはじめた「KY(カカク ヤスク)」戦略以来、大きく転換している。イマイチ「空気読めない(KY)」だった外資手法の直輸入を日本市場に受け入れやすくする、抜群の「翻訳力」を身に付けたのだ。
Georgeブランドを投入した「SEIYU FASHION PROJECT」もおもしろい。H&M、Forever21、トップショップなどが支持を集めるファストファッション。「低価格だけどオシャレ」がウケている理由だ。そんな流行の一端に乗ろうというプロジェクトだが、「自分たちのブランドは良いんです!」というストレートな主張はしない。
プロジェクトに関して西友は『西友ファッションプロジェクト あなたが思っているかもしれない「スーパーの服は安いけどダサイ」を、「安いけどカッコイイ!」に変えるプロジェクト』と公表している。
コピーでは「スーパーの服は安いけどださいとおもっている あなたへ」と敢えて受け手が心に思っていることを出している。「西友はスーパーですよ。けどね、結構いいと思いません?スーパーにしちゃぁ!ほらほら、見てみて…」という感じ。
ファストファッションやユニクロに真っ向勝負を挑まずに、むしろさっさと負けを認めて開き直り、結果として「結構いいじゃん」と思ってもらう作戦。こうする事で、消費者は「そうそう、自分をわかってるじゃん、西友。で、今回はどうなの……あ、結構良くない!?見に行ってみようかな」となる訳だ。
長きにわたる外資流の日本市場への不適合を、「空気を読む」んで、日本流に翻訳をして辿り着いた「KY(カカクヤスク)」戦略。西友の変化は、自社の都合や流儀ではなく、顧客をしっかり見て、顧客に適応することの重要性を示してくれていると言えるだろう。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。