映画プロデューサーの仕事とは(3)~アニメを海外に売り込む方法~

2009.06.30

営業・マーケティング

映画プロデューサーの仕事とは(3)~アニメを海外に売り込む方法~

ITmedia ビジネスオンライン
“ニュースを考える、ビジネスモデルを知る” ITmedia 編集部

映画やテレビドラマなどを制作する上で大きな役割を果たすにも関わらず、監督に比べて地味な存在と思われがちなプロデューサー。東京ディストリビューション・オブ・コンテンツセミナーで行われたGONZOの内田康史氏の講義では、どうアニメを海外に売り込むかということについても語られた。[堀内彰宏,Business Media 誠]

 ディストリビューションは例えば小学館と小学館集英社プロダクション、集英社が一緒に米国でビズピクチャーズという会社を立ち上げて、小学館や集英社のアニメをその会社で配給しようというビジネスです。『DEATH NOTE』の配給なんかはそうやっています。ライセンスビジネスを海外でする際に米国の企業と一緒にやると、比較的収益が取られやすくなります。そうした会社がノウハウを持っているから安心して任せられるということも言えるのですが、もうかった時にうまみがないので自分たちでやってしまおうということです。

 リメイクでは、日本のどんなアニメの実写化がハリウッドで進んでいるのかというと、20世紀フォックスから公開された『ドラゴンボール』がありますが、『攻殻機動隊』『ガッチャマン』『Astro Boy(鉄腕アトム)』も進められています。それから『DEATH NOTE』はワーナー・ブラザーズがやっています。

 ハリウッドには新しい話を作れる人がいなくなっていて、日本からこうした原作の権利を買わないと映画を作れない状況になってきています。日本はマンガという文化が大きくあるので、原作が潤沢にあります。プロデューサーのスキームの最初の部分、原作探しについては日本でしようという流れが今できてきている気がします。しかし、問題は日本は米国に比べると契約社会ではないため、この辺の契約のやり方が得意ではないので、米国のプロデューサーの交渉に負けながら、海外にどんどん作品が流出しているということは言えると思います。
プロデューサーに大事なこと
 僕が10年間プロデューサーの仕事をしてきて思うのは、「プロデューサーはどれだけリスクを回避することができるかで、プロとしてやっていけるか決まる」ということです。作品をヒットさせることが本当は大事なのですが、ヒットさせられなかったとしてもやけどをしないで継続できるか、プロとしてやり続けられるかが一番大事なのではないかと思っています。

 そのためには契約書の文言で相手方にやられないようにする、何か問題が起こった時にその責任を100%かぶらないようにすることなどが重要です。先ほど投資と融資と言いましたが、投資ではいただいたお金を人道的には返さなければいけないのですが、ごめんなさいということで返せないケースもあります。しかし、銀行からお金を借りたら、自分の家を売ってでも返さなければいけません。一生働いても返さなければいけないものなので、どうやってお金を調達するかはとても重要なことです。

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