日本が生んだ世界最速ブラウザ・Lunascapeの世界シェア戦略(4)

2009.06.23

開発秘話

日本が生んだ世界最速ブラウザ・Lunascapeの世界シェア戦略(4)

INSIGHT NOW! 編集部
インサイトナウ株式会社

世界最速にして世界唯一のトリプルエンジン搭載ブラウザLunascape。ブラウザといえばアメリカという常識を覆し、世界シェア拡大を狙うスタンスは、あのGoogleを彷彿とさせる。ブラウザで「世界平和実現」をめざすLunascape開発の背景を探る。

本質を見抜いた発言である。そして、その通りの時代がやってくる。

■クラウドコンピューティングで求められるもの

「サクサク動くブラウザさえあれば、後は何も要らない。Googleのサービスを使えれば、それこそパソコンにソフトなんか一つも要らない。そんな時代が来ていますよね」

クラウドコンピューティングへ、SaaSへと時代は急速にシフトし始めている。ネットブックがなぜ、あれほどまでに売れるのか。モバイルユースで考えれば、ネットにつながりさえすれば必要な作業はほとんどできるからだ。ではネットにつながるためのポータルは何か。本質的にはポータルサイトではなくブラウザである。

「この流れがはっきりした時点でライバルが出てくるのはわかっていました。ただ、予想していたよりずいぶんと早かった。FireFoxが出てきたのが会社を作って3ヶ月目ぐらい。しかも、私たちが次にやりたいと狙っていたことを先回りしてかなりやられている。これは悔しかったですね」

マイクロソフトと比べれば大したことはないとはいえ、創業間もないLunascape社にとって、Mozilla財団は大きな敵である。

「でも、少し考えてみれば我々と彼らの差ははっきりしているわけです。つまり我々は日本にいて、彼らはシリコンバレーにいる。たったそれだけのことなんだけれど、それが実は大きいわけです」

差が出るのは人である。シリコンバレーには世界中から優秀なエンジニアが集まってくる。だから開発に何より必要な人材確保が簡単にできるのだ。逆にいえば人材面で圧倒的に不利なポジションにありながらも、LunascapeはやがてFireFoxに追い付き追い越す。その結果が世界最速であり世界初のトリプルエンジン搭載ブラウザだ。

「よく、その秘訣は何なんだって聴かれるんですけれど、答はがんばることだと私は思っています。ものすごくありきたりなことばで申し訳ないんだけれど、それしか思いつかないんです」

歴史は繰り返す。日本が高度経済成長を遂げた原動力は何だったか。当時の人たちのがんばりだったのではないか。ひたすら勤勉に、ひたすら真摯に、愚直なまでにがんばり抜く。

「日本の企業、あるいは日本人といってもいいんだけれど、がんばることにかけて我々は世界でも稀に見るパワーを秘めているんですよ。だからとにかくがんばり抜きさえすれば、気づいたら世界一といったことが多いはず」

ということは、そのがんばりパワーを持った企業が、条件に恵まれた世界に出て行けばどうなるのか。

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