日本が生んだ世界最速ブラウザ・Lunascapeの世界シェア戦略(2)

2009.06.09

開発秘話

日本が生んだ世界最速ブラウザ・Lunascapeの世界シェア戦略(2)

INSIGHT NOW! 編集部
インサイトナウ株式会社

世界最速にして世界唯一のトリプルエンジン搭載ブラウザLunascape。ブラウザといえばアメリカという常識を覆し、世界シェア拡大を狙うスタンスは、あのGoogleを彷彿とさせる。ブラウザで「世界平和実現」をめざすLunascape開発の背景を探る。

第2回
「Lunascape誕生」

■ネットでの情報収集効率を高めるためには

「自分が作ったブラウザより良いものは、もしかしてないんじゃないか。ちょっとうぬぼれ過ぎかもしれないんだけれど、確かにそう思ったんです」

Lunascapeの原型は、近藤氏が大学時代に作ったタブブラウザである。そもそも、なぜブラウザをわざわざ自作したりしたのか。

「論文を書くためです。ネットでの情報収集効率を高めるためにはどうすれば良いか。そんなテーマで研究していて、いろいろ考えた結果浮かびあがってきた問題が、ブラウザの使いにくさでした」

とはいえ当時ブラウザといえば、イコールI.E(インターネットエクスプローラー)である。ブラウザの選択肢は他になく、もとよりたいていの人にとってはブラウザという用語自体が理解されていなかった可能性すらある。インターネットを見るなら『e(=I.E)』のアイコンをクリックする。ほとんどの人が、その行為に何の疑いも持たなかったはずだ。

「でもブラウザがもっと使いやすければ、情報収集効率は飛躍的に高まるに違いないと気づいたんです。ただ当時は第一次ブラウザ戦争が終わった直後でしょう。マイクロソフトと争ってまでブラウザを作ろうなんて誰も考えなかった。私だって勝つとか負けるとか、そんなことを思って開発したわけじゃありません」

ところが近藤氏の作った『もっと使いやすいブラウザ』はヒットした。窓の杜で取り上げられたこともあり、いきなり数千人のユーザーがダウンロードしたのだ。

「研究のためのモニターを募集しなきゃと思って、アップロードしたんです。百人ぐらい集まれば良いかなあって思ってたら、いきなり何千人ものユーザーができちゃってびっくりしました」

ほどなくしてユーザー数は10万人を超える。爆発的なモニターの集まり具合を聞いた教授は、その数に絶句した。

「実はブラウザなんて簡単に作れるんですよ。と言っちゃうと我々のビジネスに影響しそうですけれど(笑)。とりあえず動くだけのブラウザを作るのは、ほんとそれほど難しいことじゃないんです」

こうした経緯を経てLunascapeは誕生した。完成度はともかく、そのコンセプトがネットの、おそらくは先端的なヘビーユーザーたちから高く評価されたのだ。この体験が近藤氏には確かな手応えとして残った。

■ネットメリットをフル活用した開発モデル

「時代に恵まれたなとは思いましたね。みんなが普通にネットを使うようになっていて、ブロードバンドも普及していた。数年前には想像もできなかった環境をフル活用できるわけですよ。Lunascapeの進化には、こうした時代の変化がとてつもない力を与えてくれました」

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