営業はスピンしよう

2007.08.09

営業・マーケティング

営業はスピンしよう

竹林 篤実
コミュニケーション研究所 代表

営業といえばセールス。セールスとは売ること。だから営業で大切なのは売り込み、ではなくて。これからの営業に必要なのは売り込みより聞き込み。ポイントはSPINです。

問題が見えてくれば、つぎはその問題が実はどれほど深刻なのかを相手に理
解させる必要があります。そのために使われるのが示唆質問
です。たとえば
生産ラインのあるツールの使い勝手が悪いことを問題質問で引き出すことが
できた。こちらが売りたいのは、まさにそのツールだとしましょう。

すると、たいていの営業マンは「当社のツールなら、使い勝手の問題を解決
できますよ。しかもコストは○○で済みますから」といった話に一足飛びに
持っていきたくなるもの。しかし、ここでじっと我慢の子になれるかどうか
が商談の成否を決めるのです。

もちろん相手の状況次第では、一気呵成のクロージングをかけることが奏功
するケースもあります。それを見極めるポイントは商談相手の決定権でしょ
う。決定権を握っている人間が問題を的確に認識しており、しかも当社の製
品に対して価値/対価バランスを考えて価値が上回っていると考えてくれて
いる。そう確信を持てるなら押せばいい。

しかし、そうじゃない場合はどうでしょうか。押されると反発するのが自然
の理です。そこで示唆質問を使う。こんな具合です。
「そのツールの使い勝手が悪いとすると、ライン全体にどんな影響を与える
でしょうか」とか「その影響はライン全体の生産性にどんなマイナスをもた
らすでしょうか」とか「そのマイナスはコスト換算すれば、年間どれぐらい
の額に上るでしょうか」。

質問に答えているうちにお客さんの方が、単なるツールの使い勝手の悪さ
が、実はえらい損害につながっているんちゃうかと勝手に思ってくれたらし
めたもの。とはいえ、そんな質問を簡単にできるものでしょうか。案ずるよ
り産むが易し。実はこれはそんなに難しいことではありません。要は視点の
持ち方です。自分が相手企業の経営者になったつもりで、さらにとびっきり
心配症的ネガティブ思考になって考えればいい。

ここまで相手から聞き込んでくれば、最後はいよいよ解決質問でトドメを刺
しましょう。基本的には示唆質問を逆に追っていけばいいわけです。
「生産ラインでのコスト削減方法を求めているんですね?」
「コスト削減ということは、時間あたりの生産性を高めればいいのでしょ
う?」
「生産性を高めるためには、ツールの使い勝手がかなり重要なポイントです
ね?」とつないでいって「じゃあ、このツールなら使い勝手がうんと高まる
んじゃないでしょうか」と決めればどうなるか。値引きを要求されることも
まずないでしょう。

営業の仕事とは実に「売り込み」ではなく「聞き込み」なのです。

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