商社マン しんちゃん。 走る! (7)

2009.06.03

営業・マーケティング

商社マン しんちゃん。 走る! (7)

三宅 信一郎
株式会社BFCコンサルティング 代表取締役社長

~高度成長からバブルを駆け抜け、さらなる未来へ~ 1980年~90年台にかけての日本経済のバブルが膨れ上がって破裂前後の頃の、筆者のドロドロの商社マン生活の実体験をベースに、小説化しました。 今も昔も変わらない営業マンの経験する予想を超えた苦楽物語を、特に若手営業マンに対して捧げる応援メッセージとして書きました。

第二章 一人前への長い道のり

翌日、関が宮田にずかずかと近寄ってきて案の定
いつもの雷を落とした。

「ばっきゃろー! 何だこれは。 お前は全くテレックスの
内容をなんもわかっておらんじゃないか。 
もっと真剣に読んで、わからんことは回りに聞け! 
皆忙しいから待っていても誰も教えてくれんぞ!
聞いて聞いて聞きまくれ。
板前修業のようなもんだ。わかったか!」

< 出たー。またこれや。なにが「ばっきゃろー」や。
  どうせなら、アホ!いうてもろたほうがまだましや。 
  それと、聞け聞けいうけど、いざ聞こうとしたら
  いっつも「忙しいから後だ!」で終わりやないかい。
  腹立つわ。ほんま。 >

「おい。 それと、お前、今日何でここに座ってんだ?」

< なにいうてんの。このおっさん。 >

「えー? 何でといわれましても??
ここ自分の席ですからと思ってるんですけど、
どういうことでなんでしょうかしょうか?」

< なに聞いとるんや、このおっさんは。 アホかいな。
  この机は、俺の机やろが。 なに、この会社は机も
  くれへん会社なんかいな? >

「違うだろうー! 何で会社にいるんだと聞いているんだ。
どういうことなんでしょうでしょうか? じゃないだろう? 
馬鹿か!。 お前は。」

「はー・・・」

「宇都宮には行かないのか?」

「宇都宮・・・ですか?」

「そうだよ。 先日一緒に行った日本非鉄金属工業の
宇都宮工場に行かないのかって聞いているんだよ!」

「え? また行かないといけないのですか?」

「あったりまえだろう! お前はあそこの担当になってるんだよ。
雨が降ろうが、風が吹こうが、あの会社があそこにある限り、
お前はあそこには何度でもずっと行き続けるのだ。 
行って行って行きまくって、注文とってこい! 
さー、今からすぐ行って来いや!」

< そんなん聞いてないし・・・ >

正直、あんな東京から何時間もかかる中途半端に遠い
ところのお客様の担当になるのは気が重かった。 

もうひとつ気が重い理由があった。

華やかな海外ビジネスや英語とは無縁の泥臭い国内商売を
担当するのは、正直がっかりであった。

同期の連中の多数は、配属早々テレックスなどで海外の
支店や取引先とのやり取りを始めたり、早速オファー
(Offer:見積書、)やプロポーザル(Proposal:提案書)
を提示するための原稿を英語で書かされたり、海外取引先の
要人との会議やアテンド(接待)に駆りだされたりと大忙しである。
 
彼らは、いわゆる総合商社らしい華やかな海外取引の現場
というステージに上がりこもうとしていた。

同期のそういう連中が本当にうらやましくて仕方がなかった。

宇都宮から乗ったタクシーの窓から見える栃木県ののんびり
した田園風景を眺めながら、宮田はつぶやいた。

「前回は、冷間圧延設備のキックオフという大イベントが
あったが、今日はそういうイベントも何もない。 
いったいどの部署で誰とどんな話をすればええんやろか・・・」

会社を出る前に、関からあるメーカーのアルミニウム
インゴット(精錬されたアルミニウムの金属塊)の
溶解炉のカタログを渡された。

次回に続く。

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三宅 信一郎

株式会社BFCコンサルティング 代表取締役社長

事業力強化・新規事業開発・創業支援コンサルタント (財)生涯学習開発財団認定コーチ 自動認識基本技術者 (JAISA:(社)日本自動認識システム協会)認定

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