再び100円ショップ業界を「5つの力」で読み解く

2009.03.31

営業・マーケティング

再び100円ショップ業界を「5つの力」で読み解く

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

日経MJ 3月30日号に100円ショップ業界の新しい動きが掲載されていた。 その意味を再び「5つの力」で読み解いてみよう。

記事は「PBの衝撃」という」コラムで扱われている。<100円ショップ、個性の源に>とのタイトルで、<100円ショップ各社がプライベートブランド商品の拡大に乗り出した>と伝えている。
100円ショップ業界は、一時の原油高による原材料費高騰期に比べればまだ良くなったが、まだまだ原材料は高止まりだ。市場も完全に飽和している。消費者も経済環境の悪化によって財布の紐を締めており、「つい買っちゃう、100円商品」などという購買スタイルは影を潜めている。
低価格志向を強める消費者に対応するため、スーパー大手は低価格なPB商品を多数開発し、100円均一商品も増やしてきている。スーパーは意図的に100円ショップ業界を攻撃しているわけではないのだが、期せずして100円ショップの代替品を多数扱ってしまっているのだ。その結果記事にあるように<「相対的に100円ショップの割安感が薄れてきている」(大手100円ショップ幹部)>ということになってしまっているのである。

ここまでは、昨年10月19日に記した『「5つの力」で読み解く100円ショップ業界の未来
』とさほど環境は変わっていない。
http://www.insightnow.jp/article/2218

5つの力で考えると、「買ってくれない消費者」は「買い手の交渉力」として大きく作用する。原材料の高止まりは、メーカーの卸価格も高止まりを招くため「売り手の交渉力」も強い。スーパーのPB商品と100円均一商品は強力な「代替品の脅威」だ。「業界内の競争」は生き残りをかけて当然激しい。5つの力のうち、4つまでが厳しい状況にある。

10月の記事では業界最大手のダイソーと、2位のキャンドゥの展開を分析したが、日経MJには業界中堅企業の独創的な展開が取り上げられている。
業界4位のワッツは<ラップは40メートルから60メートルに><30個入りの紙コップは50個入りに>というように、<同じ100円でもワッツのPBは量が多いという「少しでもお得感を打ち出す」>と同社社長が語っている。
もう一社、セリアという100円ショップは自社のPB商品のパッケージを、同社の新型店舗である<おしゃれな雑貨店のような店舗>の内外装に合わせ、さらに<デザインや素材にもこだわった>という。

両者の狙いは明確で、記事が分析するように<「100円ショップはどこでも同じ」という印象を変える目的>である。
この狙いは重要だ。バリュープロポジション(Value proposition)という。
顧客に対する明確な提供価値であり、顧客がその価値を認めてくれる要素。バリュープロポジションを構築するとは、自社の存在意義を顧客に伝え、差別化を図る上で大きな意味を持つ。
ワッツのバリュープロポジションは「とにかく量が多いこと」である。セリアは「オシャレであること」だ。どちらも顧客にとっては価値が明確であり、わかりやすい。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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