天下の吉本興業にあって、天下のジャニーズにないもの。

2009.03.22

営業・マーケティング

天下の吉本興業にあって、天下のジャニーズにないもの。

中村 修治
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

日本最大級の芸能事務所を2つ答えろと問われれば、みんな「吉本興業とジャニーズ」と答えるだろう。どちらも日本のコンテンツ産業の雄である。しかし、同じコンテンツホルダーでも、大きな違いがある。その違いは、今後、さらに大きな差異になっていく予感がする。

地上波放送は、基本的に、無料である。マス向けに流したコンテンツはネット上でもタダ、と考えるのがユーザー心理というものだろう。「タダより恐いモノはない」ことを知るコンテンツホルダー老舗の吉本興業は、タダで一番ビジネスが拡がる方法を模索しているのだ。

如何にコンテンツビジネスが高度化しても、「見て欲しい芸人」と「見たい視聴者」の需給のバランスが合わないと成立しない。そして、どっちみち、どうであっても・・・視聴者から「お金」をいただくのが、コンテンツビジネスの基本である。広告会社、広告主を経ているとはいえ、それも、元々はコンシューマーの負担。コンテンツ産業は、どう進化してもBtoCモデルであることは変わらない。その原点への回帰が、インターネットの加速によって進んでいると考えた方がよい。

ことコンテンツ産業においては、そのことを実感しているヒトが多い。ネットに親しむほどに、肌でわかってくることがある。
糸井重里さんは、「ほぼ日」の中で、著作権・版権とインターネットの関係について、こんなコメントをされている。この発言に、激しく同意だ。

ぼくは「ほぼ日」という小さなメディアで、直接に読者の声を聞きつづけているうちに、
あまり常識的でない、よくいえば新しい考え方をするようになっていた。

「コンテンツの力を信じる」ことが、
どんなマーケティングにもまして大切だということだ。


それじゃ、昔からの自称「良心的」出版社と同じじゃないか、と思われるかもしれないのだけれど、
かなりちがうのだ。
力のあるコンテンツは、まず「基礎票」を持つ。その基礎票が、「ほぼ日」ではアクセスやメールによって、目に見えるようになる。
そして、その基礎票がダイナミックに反射しあったり、結合したり、新たなニュースを生み出したりして、「それなりの市場」をつくってくれるのだ。

このように考えると・・・ジャニーズの著作権・版権を徹底して守るという姿勢は、いずれ破綻するのではないかと懸念する。逆の視点から考えると、ジャニーズ事務所は、所属する「ひとりひとりのコンテンツの力」を信じていないから、強硬なのではないかと勘ぐってしまう。

コンテンツの力を信じるとは、社会や視聴者を信じることにも、通じている。
商魂とは、結局、何を信じるかにかかっているのだ・・・。

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中村 修治

有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。 その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。

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