モスバーガーの堂々たるチャレンジャー戦略

2009.03.08

営業・マーケティング

モスバーガーの堂々たるチャレンジャー戦略

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

「やっぱり、日本が、一番うまい!」 ・・・そんなキャッチコピーを引っ提げてやってくるのが、3月24日発売予定のモスバーガー「とびきりハンバーグサンド」の第二弾だ。それだけではない。モスでは信じられない100円台メニューや、ガッツリ系のパテ2枚バーガーなどが順次登場するという。モスの狙いはなんだろうか?

約2か月間で620万食を売り上げ、モスフードサービスの業績回復に大いに貢献した、「とびきりハンバーグサンド」の第二弾、「とびきりハンバーグサンド トマト&レタス」と「とびきりハンバーグサンド レタス」が3月24日から発売されるという。
http://news.walkerplus.com/2009/0305/17/

その商品情報を見た時、筆者は思わず「美味い!」ならぬ、「巧い!」と唸ってしまった。
モスファンとはいえ、一般人である身には、その味を試すためには発売日まで待たねばならぬ。しかし、その戦略の巧緻は十分味わえたのだ。
ごちそうさま!!(マーケティング的な意味で)。

何が巧いのかといえば、その商品の特徴付けだ。前作の具材はパティと刻みキャベツだけ。ソースは王道のトマトデミソースという直球勝負であったもが、今回は何とも大胆にキャベツが挟まっており、まるでキャベツが主役であるかの風格が漂っている。
パティは変わらず、安心の「国産肉100%の牛豚合い挽き」だ。それに、さらに安心の「国産レタス」がたっぷりという、安心の二段重ねという周到さだ。

製品発表の記者会見では、生産農家の『鈴木さん』が<「ウチのレタスは、除草剤も殺菌剤も使っていません。この時期、一番おいしくなるレタスは、歯ごたえも甘みも充分。生のおいしさを味わってください」と、笑顔でコメント>したという。なんという、生産者の顔が見える、安心感の演出。・・・ちなみに、『鈴木さん』はモスバーガーのWebサイトにある「産地だより」というコンテンツにも登場している、知る人ぞ知る、モスを支える有名人(?)だ。

上記のような、国産へのこだわりと生産者や生産方法へのこだわりは、決してリーダー企業であるマクドナルドには取れない。極めて巧いチャレンジャーの差別化戦略であるといえる。「除草剤殺虫剤不使用」の農法は、ともすれば作柄の不安定や病害虫の被害と背中合わせのリスクを抱えている。また、大量生産にも向いておらず、標準・均等な品質も完全には保証できない。
圧倒的な「規模の経済」を誇るマクドナルドは、標準化された原材料を低廉に大量に仕入れるバイイングパワーが、一つの力の源泉である。そのため、上記のようなリスクのある原材料は使いにくい。それがマクドナルドほど規模が大きくなく、標準・均等な品質よりも従来から自然に近い原材料や食への安心といったこだわりを優先してきたポジショニングが生きてくるのだ。
また、消費者には第一弾で「国産肉100%」という安心感を訴求し、その反応を見てイケる!と確証してから、第二弾でさらにレタスという新たな具材を用いて安心感を強化するという、念の入ったプロセスを踏んでいるのだ。大胆かつ、手堅い戦略であるといえる。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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